ポケ迷宮。

ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。

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 この前の日曜日に観てきました。写真は映画パンフです。740円。安い。

 原作は読んだことがありません。
 更に自分は映画もあんま観ません。あくまでも、しがないゲーマーです。
 テレビもそこまで見ないのでキャスト陣が誰がどうとかもあんまり解りません。
 そんなこんなで、純粋に中身についてしか語れません、ご了承ください。
 逆に言えば、この感想は一切の色眼鏡はありません。

 そんなわけで当作品について知っているのは漫画原作だ、ということのみです。

 観に行ったきっかけ自体も「知り合いに誘われたから」という何とも面白みのないことです。

 
 公式サイトはこちら




☆主人公「鮎喰響(あくい ひびき)」の天災的な強烈なキャラクター性
 ※誤字じゃないです。

 主人公である響というキャラは、小説の好きな15歳。女子高校生です。本を読むことも書くことも好きで、一月に30~40冊のペースで本を読んでいると答えるシーンがあります。

 新人賞に「誰かに感想を聞きたかった」という理由だけでぽいと出した小説がきっかけであれよあれよと彼女が有名になっていくお話。

 それだけならまあよくある話でしょう。

 この作品の評価を二分するところがあるとすれば、間違いなく鮎喰響の信念と異常とまで言われる行動力にあるのだろうと思います。

「私は貴方と話をしている」
「友達がいじめられていたら助けたいと思う」
「自分の責任は自分で取る」
「喧嘩を売られたから買っただけ」
「私を殺すって言われたから殺されないようにしただけ」

 言葉と態度の端々から絶対の自信と信念の強さ。
 それはただただ彼女自身の純粋な価値観をぶつけているだけで、社会のしがらみなんてお構いなし

 そして、その解決方法はまず言葉をぶつける。
 理不尽な脅しがエスカレートしてくる輩には暴力。
 文学少女が暴力。
 こりゃすごい絵です。

 相手から言われていることは確かに理不尽だし、所謂相手の顔色を伺う大人のご都合というやつばかり。それに物申す痛快な物理攻撃
 原作者自身が「この作品はホラーです」といった発言をしているように、とにかく響というキャラは何をしでかすか判らないのです。

 まずこの部分で、

右向け右の社会を吹っ飛ばす隠れたヒーローだ


 と思うのか

あちこちに迷惑をかけてる我儘なKY人間だ


 と思うのかでこの作品の評価はがらりと変わるのでしょう。
 賛否両論というものは世の芸術もそうですが、この作品、しいてはこの人物もそうなのかなと思うのです。

 自分がどちらで取ったかというと……難しいですね。どちらとも受け取れるからです。悪口を平気でぺらぺら吐いて、それを我慢して聞いてる友人を助けるために繰り出される流れるような足技は気持ちいいと共に、その友達の体裁とか大丈夫なんだろうか、ともなるわけで。
 そういうのも含めて、出る杭打たれる世の中、作品の中だからこそ成り立つ天才……もとい天災なのでしょう。観終わった時にはこのキャラは「やべーけどすげーな」というという評価に落ち着きました。なんというか、キッズウォーを少し思い出しました。感情を爆発させるキャラでは無いのでそこは少し違いますが、鉄拳制裁な雰囲気は似ています。


 自分はただひたすらワッショイされるキャラというのは苦手なんですが、そこに響は遠からず近からず、みたいな感じはあるのかな、と思います。
 わざとらしくあの子すげぇ!みたいな大絶賛なのは文才くらいなのかな。
 群像劇のような話の作りでもあり、彼女の言葉や行動に感化されていく人たちは沢山いますが、何もしてないのにヨイショされたりしてるわけではなく、響が社会に揉まれてつまらない人間になってしまった彼らのうちに文字通り響く言葉を言っているからこそであり、その点では理不尽な事を感じたり、不快感を抱いたりしたことは有りませんでした。

 こういう「別に天才になりたかったわけじゃないけどそれが好きだからやってる」で嫉妬を受けたりするのはfreeの主人公の遥とかも思い出しますね。

 当映画パンフレットに書かれていた「ルールは破るけど、マナーは守る」というのが一番彼女を体現した言葉だと思っています。
 

 また、その響ですが年相応な顔もちらちらと見せるギャップも良いところだと思います。個人的に、ギャップ萌えって凄い大切だと思うんです。
 可愛い動物のぬいぐるみを部屋に飾っていたりとか、お母さんの頼みに素直に返事したりとか、「自分の信念を曲げられる」ような事態に陥らなければ普通の子なんだなっていうのはよく解りました。




☆予定調和で流れる物語に意外性は無いが、所々見せる緊張感で目が離せない
 基本的に、話の大筋に意外性というものはありません。大きな流れとしては先が読める展開になっています。
 また、凄い盛り上がりがあるわけでもなく、淡々と話は進んでいきます。起承転結な物語とはまた違うような気がします。

 が、先程も言ったように、何しろあの強烈なキャラクターが主人公なわけです。原作者ですら「ホラーです」みたいなこと言ってるわけで、端々に起こる人間ドラマで主人公が何を言ってくれるのか、何をしてくれるのかが判らなかった。とにかく爆弾に手足がついて歩いているようなものですから、所々で緊張感を持たせてくれるんですね。だから途中で飽きてくるようなことも無かったですね。

 ちなみに原作を知る知り合いによると
・一部のストーリーやキャラは端折られているものの、大筋の展開や台詞は原作と同じ
・まだ原作は続いてて映画よりも先の事をしている
 とのことらしいです。



☆そこに響がいた 周囲を取り巻く俳優陣も空気を作っていた
 あまり自分は俳優とかドラマとか判らないわけですが……。

 役者の雰囲気は凄く良かったですね。特に主演がアイドルだとは思わなかった。しかも初映画で初主演。なんと原作者が是非やってほしいと言ったほどらしく、キャラに一切のブレがなかった。
 元々表に感情をがんがん出す役でも無いのですが、台詞の微妙な感情とかがよく解るんですね。それと、演出面がしっかりしてるのもあるでしょうけど、目力が凄い。
 アクション部分のキレの良さはステージ上で動き回っているアイドルだからこそ出来るのかもしれない。多分何度見てもかっけぇ……!ってなる不自然さの無いアクションでした。

 周囲を取り巻く人間も良かったですね。その辺りはベテランの方達も流石の役作りでした。




☆総評:鬱屈した日々を送っている大人にこそ観てほしい
 文学少女が主人公なわけですが、作品としてはヒーローものとして見るのが正解なのかもしれません。
 それと、乃木坂の人が主役だっていうことで話題になっていますが、そういうの抜きで観てほしいなと思える作品でした。少なくとも、映画館でお金を払って観る価値はありました。

 多少のご都合主義等はあるので、細かい設定とかが目に付いて仕方ない、なんて人は観ない方が良いと思います。
 凄い壮大なスケールのお話でもないので、豪快なものを観たい人にも向いていません。
 あくまでも一人の人物を中心とした群像劇なのです。



 ここまで読んでくださりありがとうございました。
 自分は原作をいずれかの時期に読みたいと思っています。

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