ポケ迷宮。

ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。

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グノーシア小説2作目。
 2作目ですが、これから読んでも大丈夫です。

 これはセツがループしている中であったかもしれない、ちょっとおかしなお話。

 特記事項に関わるネタバレがあるので、まだ埋めてない人は読むこと非推奨です。


 では、「せっちゃん珍道中1 ~しげみち改造計画~」です。

>20'8'12 拍手コメント返信






せっちゃん珍道中1 ~しげみち改造計画~


---------------Loop76---------------
RL N nm 6 g 1 A
st gn sq nn sg lv
D1:CS nn DEL gn
D2:CS lv DEL st
「しげみち、どうしてそんなに細いの?」
「どうしてと言われてもな……オレこの身体になってから身体はこのままで身長も変わってないし」
「どれだけ食べても運動しても……変わらない?」
「そうなんよ、凄いだろオレの身体!」
 紅桔梗色の前髪の下から女性は冷たい視線を話し相手に投げかける。その視線を受けている人物は気にした風も無く、昆虫のような瞳を得意げに明滅させている。
「オレは親からもらった身体を大切にしてるからな!」
「貰った、というのか、それは……」
 自信たっぷりに胸を張っているのを横目にセツは溜め息を吐いた。
 グノーシア感染者が出た船で実に一日目の夜の事、船内を散歩していたセツは、廊下で二人の人物が会話しているのを目撃し、そのまま会話に巻き込まれる形となった。
 一人は、緩やかに癖のついた紅桔梗色の髪の毛を胸の辺りまで伸ばしたジナという少女。ここまでのループで、彼女が非常に真面目で心優しい人物だという事をセツはよく知っていた。
 一方でもう一人の人物は、見た目は一言で言うと子供が読む物語の中に出てくる宇宙人である。髪の毛すら生えない灰青色の金属で出来た肌は骨格の浮いた身体を覆っており、何の羞恥心もなく彼はその肌をほとんど曝け出している。個性的な乗員の中でも飛びぬけて個性を出しているのが彼、しげみちであった。
「事故に遭ったオレを、宇宙大好き少年だったの知ってた親父が特注の人工皮膚にしてくれたんよ。だから親から貰った身体だ!」
 一般的に親から貰った身体という言葉にはそういう意味では無いと思うのだが、指摘すると更にややこしい話になりそうなので黙っておく。
「で、なんで突然オレの身体の話になったんだ?」首を傾げながら純粋な疑問を口にしたが、言下思いついたように掌の上にぽんと拳を乗せて、「お、もしかしてジナもオレみたいな身体になりたいとかか?」
 話を振り始めたらしいジナに嬉しそうに話を膨らませるしげみちに対して、ジナは表情一つ変えずに返答する。
「違う」
「いやーそんなあ、照れなくても良いん」
「違う」
「……お、おう」
 ここまで感奮していたしげみちも流石につんとしたジナの態度に閉口してしまう。ジナは口数が少なく表情の変化に乏しい女性であるため、喜怒哀楽のはっきりしたしげみちが振り回されている姿は今まで幾度となく見てきた。
「セツーー! ジナが! コールドスリープのポッドぐらい冷たい!」
「ジナ、何か気になることでも?」
「く、こっちも冷たい……」
 口に手を当てながら視線を落としていたジナに問いかける。彼女はこちらには「……うん」と関心を向けられないまま一言だけで応答し、複雑そうにまじまじとしげみちを見て、それから、
「――しげみち」
 唐突に彼の名前を呼びながら手を握りだした。
「え」
「え?」
 素っ頓狂な声と吃驚な声が被るのが同時で、しかしその声の持ち主とも目を合わせたりする間も無く、その場から彼という存在が消え失せていた。少し視界をズラすと踏鞴を踏みながらも少女に手を引っ張られて引きずられているしげみちの姿が徐々に遠ざかっていく。
「こっち、来て」
 来てと言う前から有無を言わさず連行を開始しているが、そんなことも考えている間に湾曲した廊下なのもあってか、あっという間に目で確認できる範囲からいなくなってしまう。「え? オレ何処に連れていかれんのー?」
 廊下の向こうから反響するのは、狼狽した声と二人分の足音である。
 何となく放置された状態のセツだったが、ループが始まってからというもの、原因を探るために些細な事でも気にかけるようにしている。
「……追いかけるか」
 ジナの真面目な性格上、仮に彼女がグノーシアだった場合に誤っても彼を襲うことなどないだろう。だがしげみちがグノーシアだった場合、彼は仲間思いだが少し子供っぽく散漫なところもあるため、振り回されている最中にうっかり暴露してしまう事もあるかもしれない。
 などといった理屈を咄嗟に自分の中で作ったが、詰まるところ今回はジナが何を考えているかが知りたいという好奇心から来たものだったことは否定できない。
 靴底で床を蹴り、彼女らが向かったであろう場所を目指した。

 目の前に広げられた光景を見て、セツは目をぱちくりとさせた。
「しげみち、これ食べて」
 湯気を立てる真っ白なご飯、一面の濁った味噌に隠されたワカメを発掘するのも大変そうな味噌汁、食べるのに二口程必要であろうサイズにぶつ切りにされたじゃがいもや人参が突っ込まれた肉じゃが、直下焼きされ過ぎたようにも見えるししゃもが沢山、申し訳程度に一パックの納豆が、テーブルの前に座らされたであろうしげみちの前に広がっていた。
 まごう事なき和食であった。確かにここは食堂でという空間であり、自分達が食事を接種するために来る場所である。今日は船の乗員の全員が議論前に食事を済ませたからか、自分たち以外の人物の姿は見当たらない。
 元々自分が軍に身を置いていて食事に対してあまり拘りがない事を踏まえても、この食堂は注文した料理が何でも出る代償なのか質についてはあまり良くないというのは感じている。そのため、今あるこの料理達の品質については突っ込まないでおくが、流石にサイズに関しては物申しても良いと思う。
「あ、あの、ジナ? これ一人前?」
「そう。しげみちを太らせるための量」
 今まで無表情だったジナが口の端を上げながら頷いた。一人前かと訊いているはずなのに少々ずれた答えが返ってきたような気がする。
「そ、そうか……」
 どう見ても目の前にある量は三人分くらいの量がある。ししゃもなんてざっと見るだけで20匹程度がご丁寧に頭を並べてピラミッドを作っており、中途半端に開いた口と見開いた目はしげみちに似ているな、などと思考が変に回ってしまった。頭の端の方で、眼前の光景から逃避したいなんて考えているのかもしれない。
 どうやら、ジナは誰かを太らせるのが好きらしい。……ジナが考えている事が気になり追ってきたが、内容はどうやらそれだけのようだった。表情に多くは出していないが、これほど楽しそうな彼女を見るのは初めてだ。
 一方流されるままにこの場の中心にされてしまったしげみちは、灰青色の肌も相俟って文字通り石造のように固まっていたが、ここでようやく彼が動き出した。
「ジナ、オレ、一応、塩分とか気にして生活してんだよな」
「うん」
「和食はオレも好きだーって言いながら船内走り回れる程度には好きだけどさ、だからって一度に腹破裂するまで食べたいって野望はまだ持ったこと無いんだけど」
「うん、今から持って」
「……」
 また固まってしまった。
 あまりに本人に謂れのない不憫な光景に、流石にセツは少し同情心が芽生えてしまった。いくら、ジナが普段は心優しい人間であろうと、しげみちがいくら見た目が特異な人間であろうと、許されない範囲というものはあると思う。
「えっと、私、少し手伝おうか?」
「セツも太りたい?」
「あ、いや、」しかし、ジナから少し期待の目を向けられた瞬間に、しげみちを少しでも助けてあげようという薄い決心がぼろぼろと瓦解していってしまった。「軍にいる以上、体型の維持は義務だから、太りたくは……」
「オレを見捨てるのかーッ!」
 大きな瞳を潤ませながら見上げられるが、自分の中でしげみち救出作戦は一瞬にしてほとんど崩壊してしまっていた。一度壊れたものを修復するのは余程の根性が無いと厳しく、今回はその根性も自分には足りていなかった。
 セツは半歩、また半歩としげみちから後ずさりしつつ、目を逸らした。
「いや、うん。私も、深刻な問題だから、すまない」
「せ、セツー! 殺生なー!」
「私、そろそろ寝るね。また明日会おう。おやすみ、ジナ、しげみち」
「おやすみなさい」
 早口で単語を並べ立てて踵を返して食堂を立ち去った。後ろから裏切り者ーとか夢に出てやるーとか罵声が聞こえてきたが、一切振り返らずそのまま自室に帰った。


+++++


「んん? 夜に二人もいなくなったの? グノーシアって二人の人間を襲うのは無理って言ってなかったかニャ?」
 SQが並んだ顔を順番に指を差し人数を数えてから純粋な疑問を投げかけてきた。LeViのアナウンスに従いメインコンソールに集まった人物の数は昨日よりも三人少ない。昨日コールドスリープしたのが自分と同じくループ経験をしている人物、そして夜に消失したであろう人物はジナ、そしてもう一人は今回のループではエンジニア権限を持つ者がいないため、考えられる可能性は自分の中では一つしか無い。
「……あー、うん。お腹が破裂してる、のかな?」
「へ? 何ソレ? 病気? グノーシアを超えるキビョー?」
 昨日の出来事を説明するだけでも、あのテーブルに広げられた光景を思い出して胃もたれがしそうなので、当たり障りない範囲で答える。
「大丈夫、感染はしないから。ステラ、後でしげみちに胃腸薬でも持っていってくれないか」
「……ええ、解りました。となると、今日はしげみち様はお呼びしなくても宜しいですか?」
「うん、動かすのはその……忍びない」
「……そうですね」
 ステラと多くを語らずとも協定が出来かけていたところで、SQが唇を尖らせながら間に割って入ってきた。
「えーでもSQちゃん反対かなー。しげみちだけ特別扱いって感じでー」ふわりと甘い香りを漂わせながら部屋の出入口まで駆け出し、「動けないなら遊びにいっちゃえばイイんじゃNE?」
 SQの提案に明らかに自分とステラの顔が引きつった、と思う。なるべく動揺を表情に出さないようにという事は普段から心がけてはいるが、ステラが眉を寄せているのを見て、多分自分も同じような顔をしているという自覚はある。
 SQの両手に自分とステラの手がそれぞれ握られてそのまま引っ張られメインコンソールを後にしながら、昨日のジナに引っ張られていたしげみちの気持ちがなんとなく解った気がした。

 以降の事については、しげみちの身体は大層大変なことになっていたという事実だけが記憶に残っていて、このループの出来事はセツの脳の押入れの奥深くに押し込んでしまったので、思い出す事もなかった。






※ここから言い訳エリア
・決してしげみちが嫌いでいじめてるわけではありません。むしろ好きです。というか嫌いなキャラいません
・誰がグノかはご想像にお任せします
※ここまで言い訳エリア


 どうも、最近実はちょっとグノ関係で作業を始めたのですが、その過程でしげみち可愛くね?とトキメキ始めたヴィオです。因みにときめいた瞬間は夜の協力の申し出にOKサインを出した時です。

 気軽に色んな人を出したいので、わちゃわちゃとやるために珍道中始めてみました。雰囲気はアンソロジーコミック的な。そして最後のコマはモザイクです。見せられないよ!
 それと、苦労してるせっちゃんには楽しく生きていてほしいので……ん?これが楽しい回かって言うと微妙だな……。

 ちっとも真面目な文章で書いてないので気軽に書けるわーなんてある意味語彙力の無さを放棄しているような気がしなくもないです。いつも通りと言われればそんな気もします。

 前回のセツとレムナンは完全に自分の好きなキャラをあてがってるだけですが、今回はなんか知らない間にこの二人になりました。
 多分ジナ書きたいなーと思ってたら自然とあの第一声「しげみち、どうしてそんなに細いの?」が生まれました。それ程にあのエンディングのパーティは強烈でした。


 いつもの……書き始める前に書いた話の流れを公開。

ジナがしげみちの細いのを見て残念がる→食堂へ→ジナ「食べて」→次の日「しげみちは?」「赤ちゃんが生まれそうとか」

 でした。つまりオチ考えてませんでした。
 それと、自分にしては珍しくタイトルがかなり最初に生まれました。大抵は書き終わってもしくは書き終わりそうで、「後公開だけだけどタイトルだけ思いつかねェ」って状態なことが多いんです。これがギャグとシリアスの違いかーっ!


 そんな感じですが、続けられたら、良いな?なんて?思ってます。



 あ。

 そうだ。

 これもし、開発者さん、主にしごとさんが読んでいらっしゃったらお尋ねしたい。
 役職のAとKってなんでしょうか。他は解ったけどこれだけが核心が持てない……。
 自分はAはAC主義者でKはKnightで守護天使なのだと勝手に思い込んでおります。Angelで守護天使をあてがうと、Kが全く解らんので勝手に正解だと思っております。気になって夜しか眠れないので教えてほしいです……。こう、拍手コメントか、メールフォームで、こっそりと……!



 ここまで読んでいただきありがとうございました。
 もしよろしければ拍手やコメントなどいただけると嬉しくて飛び跳ねます。

《執筆したグノ小説》
私と君のオルゴール(セツとレムナン中心のちょっと真面目なSS)
せっちゃん珍道中1 ~しげみち改造計画~(こんなことがあったかもしれないお話その1)
せっちゃん珍道中2 ~猫から繋がる絆~(こんなことがあったかもしれないお話その2)
彼女を知りたい蛾と、彼女を知る狂犬(セツとレムナン中心のちょっと真面目なSS)
せっちゃん珍道中3 ~グノーシア対策会議ババ抜き編~(こんなことがあったかもしれないお話その3)


>20'8'12 まんぐろーぶさん(拍手コメント返信)
 読んでいただきありがとうございます。
 最初に書いてあるのはセツと初めて情報交換する時のもの、という解釈で合っています。
 自分なりに解読したものですが、後日、別の記事にて記載しますので、少しお時間をいただきたく思います。

拍手[8回]

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