ポケ迷宮。

ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。

2024/05    04« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  »06



 当記事はタイトルの二次創作の後半にあたります。
 前半はこちら



紅鏡-empty rhapsody-

 先日と同じ丘の上で、と言ったのは彼女の方だった。
 聖城よりも少し離れて位置しているこの場所は霧の森の中ではあるものの、仮にここで禍事が起こったとしても誰かに被害が及ぶ事は無いだろう。
 しかし、景色は数日前から変化してしまっている。地面に質素に咲いていた数種類の花は、先日の戦闘によって文字通り跡形もなく塵となってしまい、味気の無い枯茶の土と瘦せ衰えた根が剥き出しになって混じっていた。特段花や自然を愛でる趣味は持たないが、これ以上自然を害さないという意味でも、ここでの争いは正しいのかもしれない。
「あれからずっと右腕が疼いてるんだ。何せこの前は消化不良だったからな」
 嫋々たる風は上空の薄暗い雲を流すには至らない。垂れ込める曇天を仰ぎ、軽い足取りでベリーナが一回転する。翻る黒衣から覗く下肢は褐色の肌が覗いていて、左足にはその肌よりも尚黒い鱗が絡みつくように張り付いている。
「お前はその腰のご立派な武器を使うんだろう?」
 ベリーナは短剣を鞘から出して刀身を睨めつける。自分も腰から下げている剣の柄に手を伸ばした。
「ご立派な武器は恐れ多いよ。ただ、船乗りが船を操れるのと同じシンプルな理由でしかなくて、私は騎士団に所属はしてるものだからね」
 なんて事の無い、ただの両刃の剣だ。それに一昼夜振り回しているわけでもないので、文字通り振れる程度に留まるのは確かだ。だが彼女の武器が短剣である以上、有利に働くのは間違いない。
「さ、いつでも良いよ」 
 言い終わるのが先か、彼女が踏み出し耳障りな金属音が響いた方が先だったか。風を切ってベリーナが突きの姿勢で放った鋭刃が迫るが、一瞬で詰め寄られた間合いを刀身の長さで勝るその武器で受け止め、最初の一手を防ぎきる。力任せに押しきり、上から剣を振り被った。これを流すのは困難であると判断したのか、詰めた間合いをあっさりと少女の方から広げた。
「本当に気が早いね……」
「なるほど、耳学問だけじゃあないようだな」
 手の上で、少女は短剣を半回転させる。逆手に握った刃を上半身、腕、手首と順にしならせて振りかざす。一段目は受け流せても、彼女より大振りな剣では動きが大きく、後続の対応に間に合わない、ユリウスが一歩退くも、彼女は蹴りと短剣を交えながら怒涛の連撃を重ねてくる。
「くっ……」
 速く、鋭い。あの出会いの一戦の時よりも。
 何度もこの攻撃を受け止め続けるのはやはり限界がある。懐に入られてしまうと確実に破竹の攻めを行える彼女の方が有利なのだ。雷迅卿と謳われる剣技を持つアルベールとの訓練からでもそれはよく理解している。
 何度か剣と結界で受け流し、辛うじて姿勢よく受け止めた刀身を強く弾いて彼女と距離を取り、ユリウスは冷気を発する魔法を放った。相手の視界と機動力と体温を奪い取るためのものだ。更に出力をあげていくと、凍てつく冷気に無数の氷の欠片が混じり、少女を襲う。
 長所を奪い去る一手を打っている間に、ユリウスも次の策を講じる。自分の身体の奥へと意識を集中させる。これは魔法とはまた違った精神集中。身体を巡る血流が瞬時に沸騰する感覚と共に、自分の身体に変化が訪れる。
 もう何年も経験している、ひどく馴染んだ感覚だ。
「蠢け……」
 複数のドラゴンの顔を持った触手が地面を抉りながらベリーナに迫り、網目状に絡まり彼女を囲った。もちろんそれだけでは前回破られてしまった事を明瞭に記憶している。今ユリウスが発している冷気は少女を襲うためだけのものではない、自ら生やしている触手には内部からも外部からも酷寒とも言えるマナを送り込んでいる。
「くそ……はぁっ!」
 短い気合の一声と共に、触手の一部が破られるのを感じた。自分の意志で動くものではあるが神経が通っているわけではないため、微塵に斬られようが爆破しようが鈍い感覚しか残らない。残るとすれば、自分のマナを消費した精神的な疲労だけ。だから、いくら破られようが次の触手はすぐに生み出せる。その再生能力はやはり凄まじく、自分が言うのもなんだが便利な身体になったものだと思う。
 ベリーナが拘束を抜け出そうと内部から触手を斬り刻み、欠けた箇所を補うように瞬時にまた触手が伸びていく。
 根競べは、そう長く続く事も無かった。
 斬られる感覚が潰えると、そこからは速かった。冷気によって凝固した触手がそのまま機能を停止させ、微動だにしなくなる。後はあまり良い気分ではないが、自ら蜥蜴の尻尾を切るようにこの触手を切り離しながら、自分の中の種の残滓に送っていたマナを切り替えていく。
 実際には、自分で種を制御できなくなった時の為の策で身に着けたものの一つだが、氷結しても尚漏れ出るドラゴンのマナでできた彫像は並の攻撃では壊れない。
 鳥籠とでも形容すべき氷の檻に囲まれた少女から、苛立たしげに罵倒する声が聞こえてくる。
「このまま私の事を刺身にするんじゃねーだろうな?」
「流石の私でもカニバリズムの嗜好は持たないが……だが、君の長所は全て封じられたとは思わないか?」
「なるほどな。確かに、これだけ身動きが取れないと武器も腕も振れねえ」
 剣を青眼に構えながら、ユリウスは檻へと歩み寄る。氷に自分の姿が歪に、何重にも写り込んでいる。もう一分も動かない深淵の種の産物が、半透明な氷の中の自分と重なって見えていた。あの時の少女の瞳に映った狂気に満ちた自分の顔は何処にもない。自分は、冷静でいられている。
 その向こうの彼女の気配もいたく静かだ。このまま落ち着いて話し合いになるのなら御の字ではあるのだが恐らく。
「ふむ……ではこのまま君の」
「負け、とでも?」
 視界が揺らぐ程のマナのひずみが起きたかと思うと、盛大な音を立てて氷塊の一部が粉々に吹き飛んだ。赤黒い衝撃波に吹き飛ばされた氷と触手の破片が、肌を掠めていく。
 そこからは瞬きする程の時間しか掛からなかった。
 剣を持った腕から感覚が消え失せたと思ったら、次の瞬間には暗淡とした曇り空が視界に飛び込むのと、息が詰まる程の強打が背中へ走るのが来るのがほぼ同時だった。肘の内側にある尺骨神経を彼女は正確に狙い、次いで足払いをかけて身体を仰向けに倒してきていた。
 唐突に訪れた薄暗い視界に、少女の影が落ちることでより暗さが増した。ユリウスの落とした剣を左手に取り、喉元に突き付けてきている。
「どうした? やってる事が最初に会った時と変わらねえじゃねえか。私の右腕を止めたあの力を私に向けろよ、私の中のドラゴンの怒りが噴火する前に」
 突き付けられた刃と同質の、それ以上に冷たい一言だった。それに身体の内から感じる掻き乱される不快感は、最初にベリーナと相対した時に感じたものと実に同じだ。最初は何かは判らなかったが、今はその正体がはっきりと理解できる。彼女の右腕に内包されているいくつものドラゴンのマナが荒れ狂っている。それを自分の竜の血が、もしくは深淵の種の残滓が感じ取っているのだ。
 痺れの走る両手を土の上で引き摺りながら、頭の横まで持っていった。
「出さないさ、もう武器だって無いんだ」
「ふざけるな」
 ベリーナは右の二の腕に左足を乗せてきた。まだ麻痺しているはずの右腕に鈍い痛みが走る。褐色の肌に乗った炯々と光る円い幾枚もの鱗と共に、ユリウスを見下していた。
「武器はお前自身だ。私の《服わざる伴侶》の暴走を一度は身に受けたんだ、並みの武器じゃ物足りねえ事は解っているだろう。今の一撃だって、お前なら対処出来たはずだ」
 あの時の彼女は焔竜を落ち着かせた直後だったため、比較すると今の方が彼女は明らかに強い。少女もそれは理解しているようだが、目算がやや甘い。ユリウスなら避けられたというのは買い被りすぎだと、実際に戦闘センスはベリーナの方が長けていると、そう言っても良かった。
 だが、目的を達する為には、それでは駄目だ。
 あくまでも冷たく余裕を持った表情で、ベリーナに語り掛ける。
「では私からも問おう。君は最初に会った時を繰り返すのか? 私が本気を出したとして、君は……ぐぅ!」
 右腕に載せられていた足が今度は肩甲骨に乗せられる。錐を揉み込まれるような鋭い痛みが走った。
「黙れ! 続きがやりたいんじゃ無かったのかよ! 生っちょろいこと言ってると――!」
「だったら……だったらこの前みたいに、私の本気を引き摺りだすために……ベリーナ、君から仕掛ければ良いじゃないか」
 ここで挑発をかけるのは一つの賭けだった。自分にとっても、彼女にとっても。
 もしここで彼女がまた過熱してしまえば話は振り出しに戻るだけだ。いや、むしろ後退していると言えるかもしれない。
「そして興奮という油を撒いて……次に暴走したとして、君は君のままでいられるのか?」
「う、うるせえ……うるせえよ……! どうでも良いだろ! んなの関係ねえッ!」
「やってみればいい、私は止めない。そしてそのまま狂人と魔物のパレードにでも参加してくれば良いだけさ。そうなればここにはもう戻れない」
「うるせえ! 偉そうに上から!!」
 振り上げられた剣が鈍く閃く。角度、速度、それはユリウスを狙った一撃とは言い難かった。衝動的に彼女が振りかざして、土の上に突き刺さるはずだった。だから、避ける必要は無かったはずだった。
 そのはずだったのだ。
 見開いた視界の中で、横切ってしなった何かが彼女の右手を跳ね飛ばした。宙を舞った剣が盛大に回転しながら、残っている檻の隙間に甲高い音を立てて突き刺さったのが、ユリウスの横に薄っすらと伸びる影で理解できたが、何処か他人事のように一部始終を自分は観ていた。
「く……!」
 はっと気付いた時には少女の左腕からは血が滴り、茶色く乾いた地面を濡らしている。右に、左に、自分の腰から伸びている触手が異常な速度と暴力で少女を捉えていた。
 瞳が乾きそうな程に瞬きも、心臓が止まりそうな程に呼吸すらも忘れ、自分から生えている異形のそれにマナを送っていく。自然と力の入っていた拳は、グローブを付けていなければ、爪で掌の肌を切っていたかもしれない。
 正に生きているかのように触手が呻いた――そう、聞こえただけかもしれない。ベリーナの腕から離れた触手は何度かのたうって痙攣し、やがて奇妙なオブジェクトとなって動きを止めた。
 身体に毛布を何重も乗せられて上から巨人が押し込めばこれくらいの疲労感を感じるのだろうか。変わらず頭上に何食わぬ顔で存在する曇天が、ただただ自分達を見下ろしている。
 ゆらりと動いた少女の薄い影が固まって動かなくなった触手に寄りかかっていた。彼女の右腕は篭手が守ったようだが、左腕から伝った鮮血が触手の顔に染みを作っていく。
「……っくそ、お前だって、力を制御なんて……出来てねえじゃねえか。ちくしょう、いてえな……」
 ユリウスの荒い息を吐きながら目を見開いたままの表情と、触手の攻撃的な動きの温度差に気付いたのか、ベリーナがユリウスの頭上で舌打ちした。何度か彼女のこの行為を耳にしたが、今までで一番力が入っていない。
「……お互い様だろう?」
「最悪に、格好悪いことにな……」
 それ以上はお互い気炎を揚げるのすらも出来ない、精神的な限界が来ていた。

+++++

 頭上の曇り空もこの自分達の空気を忌避しだしたのか、のしかかっていた一面の灰色は所々が切り離されて、隠されていた青空が宝物のように煌めいても見える。微弱だった風は相変わらず自己主張に乏しく、森の葉擦れの音はあまりしない。
 様変わりしたのは地上の方で、人一人閉じ込められる氷の檻のその中にはドラゴンの頭に酷似し、鋭い鱗を持った蛇のような身体を持った触手が固まっている。そして一部は破壊され、木っ端微塵になった氷と触手が乱暴に散らばっていた。そちらの氷はもう一部が溶け始めていて、紛然となった触手は一部がまだのたうち回っている。
 青年がなんとか身体を起こすと、氷の檻を背に座り込んでいた自分に治癒魔法をかけ始めた。血に塗れた左腕のアームドレスを引き千切って手荒に止血したばかりである。しかも布で縛っただけではほとんど意味が無いくらいの出血だったので、もう少し早くそんな芸当が出来るって言ってくれればこんな作業も無駄にならなかったのに、損した気分だ。
 二人で手を伸ばせば届くような距離ではす向かいに座ってしばらく黙っていたが、先に沈黙に耐えかねたのはベリーナだった。
「……あれから、私も考えた。その、制御する術があるかっていうのを、自由っていうのを」
 蠢いている触手の一部を靴の先で小突きながら、ベリーナは言葉を続ける。
「お前はどうか知らないが、私はこの力を手放すつもりは一切ない。最強でなければいけないからな。でも、あのマーズというドラゴンのようになる気も毛頭無い」やがて動かなくなった触手の欠片を青年に思いっきり蹴飛ばしてやる。「人に質問するならさ、お前は答えは出てるのか?」
 青年はその拳大の欠片を拾う。そして真上に放り投げると、まるで幻だったかのように霧散していった。宿主の意思を無視して暴れまわれる割には、宿主からマナを分けてもらわなければ姿を形作ることすら出来ない、あまりに無様なものだった。
 ユリウスは自らが生み出した欠片が消え入るのを眺めながら、独白するようにたどたどしい口調で言った。
「……未来を、見ることにしたよ」
「そりゃまた、赤ん坊がいつか立ち上がって歩く事を言っているような世迷い事か?」
 あまりにも普通な、誰にでも出せるような平凡な回答だった。まだ何の足しにもならないお貴族の演説の方がマシかもしれない。鼻で笑ってみせると、彼は一切顔色を変えずに嘯いた。
「いや、その逆だ」
「逆?」
 片眉を吊り上げて睨むが、彼はこちらを見ていなかった。梅紫の瞳を収めた瞼が、静かに閉じて、それから意を決したように開かれた。
「ここからは、私の独り言なのだが……」
 治癒魔法が掛けられている腕から、急速に活性化する再生能力のせいか痛みがずきずきと脳に突き刺さってくる。見られないよう顔を逸らして堪えているとぼやける視界の中で、彼のゆったりとした声が聞こえてくる。
「とある国に、親に放り出された王子がいた。彼は父王の信頼に生まれつき答えられなかった出来損ないだった。だが彼は認めてもらうために色々やった。武を学び、知を身に付け、……執着したのさ。空っぽの己を満たしたかった。でも結局父には疎まれ続け、周囲に蔑まれ続けた」
 自分とは全く異なる生活の風景なんて、ベリーナには判らない。物語に憧れるという気持ちを抱いた事だって無い。だからユリウスの何処かの王子の話を聞いても、想像した景色は聖城そのものだった。広い城に佇む独りの王子は、ある時は退紅色の髪の毛を結び机に向かい、ある時は梅紫色の切れ長の瞳を剣の切っ先に向けている。だがその景色の中にいる彼は独りだ。周囲の人間は彼の事を遠巻きに見ていて、彼らの表情はベリーナでも想像は容易かった。スラムから出稼ぎのために出てきた人間を見る目、自分とは違う小汚い者を見る目と、それはきっと変わらない。
「そして空虚に狂った王子が手にしたのは、常軌を逸した力だった。それは大勢の人間を巻き込んでしまったのさ」
 滲んでいた景色が徐々にはっきりすると、城内の光景なんてものは消えていた。茶色い土の上に、原型を留めていない植物の残骸とベリーナが砕いた触手や氷が散らばっている。一瞬、あの頃に戻ったのかと錯覚した。
 その向こうで、ユリウスは青い顔をしながらも治癒魔法のためにこちらに手を掲げている。集中のために瞼を閉じていて、こうして黙って眺めていると、どことなくベリーナには馴染みの無い空気を彼から感じた。しゃなりとしている、というのは女々しい表現かもしれないが、最低限の振る舞いと整った着衣は、やはり彼の身分を示しているものに他ならないのだろう。今はだいぶ土で汚れてしまっているが。
 苦い過去を背負った王子は、重たい一呼吸置いて顔を上げた。
「人は成長すると共に記憶や感情を増やしていく。その過大な情報のほとんどはもう既に過ぎた事、過去の出来事だ。中でも後悔は燎原の火のようだ。それらを抱え、時には捨てて、未来に歩む……それは簡単な事じゃない。持たざる人間には、空に浮かぶ太陽を掴めと言われているような話だ」
 ベリーナは数日前にあったこの男はえらく不遜な人間だと思っていた。自分の事は棚にあげてお約束の正義を振りかざしているものだと。そんな口だけの人間と、自分の周りにたかっていた蠅と、人生の中で見た数がどちらの方が多いかなど、数えるのが困難な程だ。
 だから今日、ユリウスが手合わせをしてほしいと言ってきて、そんな親切なお話があるものかと震えた。ここ数日の苛立ちを、形だけの正義を唱えるこの男に全てぶつけられると思ったからだ。実際には、彼が己のペースに巻き込むための方便に過ぎなかったわけだが。
「お天道様が掴めなくても、そいつが空に浮かび続けている限りいつでもチャンスはある。私達はまだ煉獄のマグマに飛び降りちゃいないんだぜ」
「だが、いつ転げ落ちるかは解らない。我々は内に野獣を抱えているんだ。いつ牙を向くとも限らないだろう。理性を失ったら最後、女神が魔神を排した行為と同じ事を人々は望むことになる」
 心配性だ、とそう思う。そもそも彼の言うような葛藤は、ベリーナ自身は今まで持ってはいなかった。正確には持つ暇など無かったのだ。その日の食事に有り付けるか、その日の奴らのご機嫌取りがきちんと出来てるか……今を損なうと訪れるのは死しかなかったから、今しか考えずに生きてきた。
 しかし聖城にやってきて、毎日の衣食住の心配の必要も無くなって、初めて今日だけを考えなくて良くなった。アデルペインが勝負を断ってきても、苛立ちや焦りの気持ちはあるが次の機会がある、と思えるようになった。そんな当たり前を、ようやくベリーナだって理解した程度なのだ。そこへお節介男があの話をしてきた。
 ベリーナに言わせてみれば過去の愁いも、未来の憂いも、必要のあることではないから正直押しつけがましさすら感じる。
「お前の私への突っかかりも、焦燥感から来ているのか? 他人に自分を重ねるなんて、大きなお世話だぜ」
「……そう、だね。それについては謝ろう。どうも人付き合いが苦手でね、知人のように上手くは立ち回れないようだ」
「ふん、そいつが例のお菓子の本命とでも?」
「……ああ」
 素直に謝って、素直に認めやがった。今まで散々突っかかっておいて。顔面に向かって投げたボールが帰ってこず、どう反応するべきか困る。手の中で転がしていた触手の残骸も、ふと動かなくなって消えてしまったので手持無沙汰になってしまった。
 彼の知人は余程出来た人間なんだろうか。ここ数日の彼と今日の彼は身に纏う雰囲気がだいぶ変わったような気がするのも、そいつのせいなのかもしれない。最初は自分に似ているなんて思ったが、彼と根本的に違うのはきっとその誰かの存在の有無なのだろう。
 否応にも脳裏に自分の見知った人物がフラッシュバックする。そう長い間一緒にいたわけではないが、今でもはっきりと思い出せる人物。もし彼女がいたら……、
「私にも、友達がいたんだ」
 口から次いで出た言葉は、対抗心、だったのだろうか。同情、だったのだろうか。無い物ねだり、とは少し違う気がする。芸が無いと自分でも思うが、ただ単に会話を繋げるためだけに出てきただけなのかもしれない。
「《結社》の鉄格子の中で会った。私みたいな掃き溜めで泥水啜って生きてきた生き方とは違う、もっと空高い……そうだな、どっちかというとお前が話していたどっかの国の王子の生まれに近い子だった」
 ユリウスは少し眉を上げた。突然話を始めた事と、自身の事が話に出てきたからだろう。その様子を一瞥し、それからまた視線を落とした。
「自由になりたいと言っていた。今しか見る余裕が無かった私は憧れたし、その子の祈りを眩しいと思った。だが《結社》は、私達の優れている方にしか時間を与えなかった」
 まだひりひりと鈍い痛みが突き刺さってくる左手を強く握り込む。傷は随分癒えたが、流れた血が乾燥してしまい、爪で引っ掻くとぱらぱらと剥がれていく。ざらついた紅色の粉が指紋の中にまで入り込み、指の腹にいくつか残った。それらもろとも、ベリーナは強く握りしめる。
「私は、お前と違って後悔はしていないんだ。これは与えられた力じゃない、犠牲の上にある力だ。それを無かった事になんてしない……私はこれからも最強を証明し続けなくちゃいけないんだ」
「なら余計に、だ」割り込むようにユリウスは口を開く。「君が彼女の自由を引き継ぎたいなら、眩しいと思ったなら、尚の事、君は人間であるべきだ。これから大きな悔いを背負わないように、道を選んでいくんだ」
 ようやく血の気が戻り始めた顔で、独り言ちるように。
「君は……もう少し自分を大事にするべきだ」
 やっぱり、自分を重ねているじゃないか。そう嘲ってやろうと思ったが、ベリーナ自身だって彼に指摘されてからずっと考えていた。
 今日だけを考えなくて良くなった。その事実は自分にとって決して良い事だけではなかった。劇的に、刺激というものが減ったのだ。刺激というものは一種の麻薬のようなもので、定期的に摂取しないと退屈という敷かれたレールの上から踏み外したくなってきてしまう。だからだろうか、第一位王子レオニードから焔竜マーズの世話を見ろと言われて自然と胸が高鳴った。まだ自分の強さの証明をしてくれるものがあるんだと。
 でも同時に、焔竜の姿を見て思うところが無かったわけではない。あれは《結社》にいた実験台の弟妹と、同じものだ。
 ああはならないだろう、そんな漠然な意識を今まで持っていた。何故なら自分が一番優れていた、常に結果を出していた。それは間違いなく自分の根底に自信という土台を作っていた。だが具体的に何をしたというものでもなく、がむしゃらに目前に現れた問題を解決していただけであって、いつまでもこのままでいられるだなんて、そんな保証は何処にも無い。
 そんな不確かな未来がある事を目の前の男は理解していて、自分よりも更に前を進んで、手を繋ごうとしてきているのだ。正確に言えば時々後ろに下がったり道をずれたりしているのかもしれないが。
「大事に……ね」
 そう思うとめんどくさい口論をしてくるものの常に土俵で戦ってこない『園主』と違って、腹が立つという感情は浮かばなかった。
「……ま、お前の無様な姿を見て、思った。力を支配してこそ自由だってな」
 たった今、かつての友達の顔を追懐して一つの欲望が自分の中で渦を巻いていた。私は彼女の分まで、自由であり続けなきゃいけない。そのためにはもっとこの右腕の事を、理解しなきゃいけないと。血塗られた欲望ではないこれは、希望というものなのかもしれない。でもそれはささやかに咲く一輪の花などではなく、もっともっと意地汚い食虫花のような願いで、荒々しく生きてきた自分にはお似合いだ。
 ユリウスはベリーナの言葉を聞いて深く頷いた。
「私達は弱者から生まれた。だけど、まだ敗北者ではないからね」
 しかし悟ったようにそう言われると、やっぱりなんとなくむかっ腹に来たので、ベリーナの口から自然と舌打ちが漏れた。
「偉そうにご高説垂れやがって。私はお前を信じていない。人を焚き付けて、それを眺めて楽しんでいやがった癖に」
「まあ否定できないね。言ったろう、獣は引退したが研究者は引退していないんだよ。私が研鑽に励むのは自分のためだ」
 先程まで他人に認めてもらうために努力をしたと言っていた青年は、満足げに空を仰いだ。
 風も流れていない今は、先程と空の表情は殆ど変わらない。相変わらず雨雲でもない、でも晴天にも程遠い、曖昧な薄暗い雲が覆っている。自分達は、こんな曖昧な所にいる。先の道が続く真っ白な光の中にも、一寸先に見えるものがない真っ暗な闇にも、歩むことが出来るこの場に、自分達はいる。どちらを進んでいきたいか、それはなんとなくベリーナにも見え始めていた。
「私も最強を目指すのは諦めるつもりはない、だが……冷静になることは覚える事にする。振るうものだけが力じゃないようだからな」
 左肩を回すともう痛みや疼きはほとんど感じなかった。あわや骨まで持っていかれそうな程の傷だったが、人よりも高い再生能力とユリウスの治癒魔法がだいぶ効いたようだ。その様子を見てか、ユリウスはこんなことを言い出した。
「ああ、大体最初に会った時みたいに誰彼構わず熱暴走を起こしていたら、身体がいくつあっても足りないからね」
「うるさい。お前だって楽しそうにしてただろうが」
「私はちゃんと弁えていたさ。覆水盆に返らない事態を招いていたのは君だったよ」
「はん、よく言うぜ。それじゃあ私が負けていたと言っているようなもんじゃねえか」
「負けていただろう? 暴走した力で森を破壊する気だったのか? この霧の森は聖城の貴重な自然の誇る防衛圏だ。その内の一画が吹っ飛んでもみたまえ、あっという間に帝国兵や山賊が雪崩れ込んでしまう、そうなるとこの城はどうなる? 非戦闘員だって多くいる。いざ襲撃を受けたら君は彼らを守れるのか? それとも、」
「あーあー悪かったよ、私が悪かった」
「なんだ、弁明があるなら聞いてあげるが」
 躊躇のない言葉の嵐を憎々しげに振り払うと、ユリウスは肩を揺らして愉快そうにしている。人付き合いが悪いと言っていたが、こういう愛嬌のない皮肉をぺらぺらと息をするように吐き出すせいではないのか。
「もう良い。この話を進めるくらいなら、まだイリア様がこの世にいるかを語る方が有意義だ」
「ふふ、なるほどね。すり替える話題としては興味深いじゃないか」と彼は頷いた。「ではその答えを聞いてチャラにしておこうか」
 楽し気に言うのを見て、ベリーナは面倒な時間をやり過ごす事が出来て内心胸を撫で下ろした。何となくこいつのケンキュウシャテキな思考みたいなものが解ってきた気がする。
 せっかく回ってきた話の主導権が取られてしまう前に、ベリーナは口を開いた。
「答えはノーだ。本当にいたら私達のような悪魔の子なんて産まれない、この世はとっくに掌の上のディストピアだぜ」
 大きく伸びをする。もしこの腕を伸ばした先に、この空の上に女神様なんてのが御座すのだとしたら、どうして今までのほの暗い生しか歩めなかった自分にその寛大な手を差し伸べてくれなかったのか。どうしてあの子は死ななければいけなかったのか。そんな考えるだけ無駄な疑問はとうの昔に捨ててしまった。
 だから、同じように生きているだけで煙たがられたという王子にも見解を訊いてみたかった。
 一切の感情を消したユリウスは一時黙って、それから静かに首肯した。
「そうだな、その世界には触手の生えた王子も、友を殺して暗躍する少女もいなかっただろう」
 ユリウスの腰から瞬時に何かが伸びたかと思うと、ベリーナの横を通り過ぎて氷の檻に突き刺さった剣を器用にも噛み付いて引っこ抜き、刃を振り回さないように滑らかに持ち主の元へと戻っていく。
「でも我々は生きる事を赦されている……放任主義っていうのは案外と悪いものじゃないのかもしれない。女神イリアの舞踏会には触手と共に死ぬまで参加し続けるよ」
 剣を手に取りながら、ユリウスは自分の身体から生えている触手を撫でた。ドラゴンの鱗を貼り付けて蛇のように棒状にしただけのその先に角や目、口を伴って一丁前に顔を呈している触手から、奇怪な鳴き声じみたものが聞こえた気がした。
「君も死ぬまで踊る気でいるつもりなのだろう?」
 膝に片肘をついてそんな光景を横目で見ながら、ベリーナは大きく溜め息を吐いた。確かに数日前にそんな台詞を吐いた気もする。
「この城で出会った奴は大抵変な奴だと思ったが、ユリウスには勲章を贈ってやりたいくらいだ」
「……光栄の至りだね、それは」
 淡々とした口調で、彼は言った。それは何も考えていないようにも思えたし、笑っているようにも泣いているようにも怒っているようにも聞こえた。でもきっとこれは、感極まる、なのだろう。
「そういや一つ、お前に謝らなきゃいけないことがあった」
 少しの静寂の後、ベリーナはそんな風に口を開いていた。
 ずっと、今の話を聞いてもやもやしていた。怪我や治癒魔法の後遺症だとか思っておくには、後味の悪いものだった。悔いることの無いように……一般的な理非の判断はベリーナにとって難しいものだが、それでも数少ない良くなかったと思える話だった。
「さっき、私の部屋での話」
「部屋で? 私が下着を見た事を、君が謝るのかな?」
「今すぐこの氷でお前の心臓を貫いても良いんだぜ」
「ふふ、冗談さ……それで?」
 冷静になることを覚えると言っておきながら小一時間と経たずに目標が流れてしまうところだった。思わず右腕に入ってしまった力をその辺の触手の破片で発散させながら、話を続ける。
「そうじゃなくて……お前と違って……って、当たり前のことだ……って」口の中でもごもごと、言葉になっているのか怪しいくらいか細かった。普段聞いている自分の声ではないような気がして、唐突に不安になってくる。それでも何とか声帯を震わせていく。「その、両親の話、出しただろ」
 彼の生涯からしてみれば自分とは状況が違えど、両親から何も教わっていないも同然だ。当然の事をママやパパに教わっていないのはユリウスも同じで、それどころか彼にはトラウマのようなものだろうから、彼の話を聞いてからずっとこの話は小骨のように突き刺さっていた。
 ユリウスの顔を見ていないため彼がどういう反応をしているのかわからないが、少なくとも短気なベリーナが求めていた間に返事は帰って来なかった。肌が痒くなってきて思わず怪我が治ったばかりの左腕を強く摩ってしまう。
 何か反応してくれと喚き散らしかけるくらいの間を置いて、先に向こうからすっとんきょうな声をあげた。
「あ、……ああ……そんな事気にしてくれていたのかい?」
 放心した、気の抜けた声だった。
「いや、嬉しいが……私も挑発していたのだし、そんな事で謝らなければいけないなら私は反省文だけで書物が作れてしまうよ」
 その顔は今まで見た中で一番とんちきな顔をしていた。悪意の一切ないその顔は、どうやら本当に気にしていなかったらしく、急に謝った事が馬鹿らしくなってしまった。ここ一連で口にした発言の全てを、先の見えない雲の上へと放り投げてしまいたい。
 早速人生という道に悔いを一つ刻んでしまったと頭を抱えていると、
「いや、だめだなこれでは」とユリウスは額を押さえて首を振った。「こういう時はありがとうと言うべきだったね」
 目尻を下げて柔らかく笑う。こんな顔も出来るのか。少なくとも、自分の育った場所でこんな大人しく笑う奴はいない。
 そこまで考えて、ユリウスの語っていた話を思い出す。周囲に蔑まれたという王子は、あんな悪口程度は日常茶飯事に浴びせられていたのかもしれない。貴族の世界は体裁とやらをとかく気にするらしいので、それもきっと直接ではなく間接的なものも多かっただろう。彼はその陰口に蓋をすることで自らの境遇を耐えてきたのだとすると、その陋習が垣間見えたのかも、というのは考えすぎなのだろうか。
「……」
 何も言うべき事が脳内に浮かんでこなかった。自分もお世辞にも人とのコミュニケーション能力を育んでこなかったので、他人を励ます術を何一つ知らない。
 ただ、自分が物事を考え直すのと同じように、ユリウスも近いうちに考えを改めねばならない思考というものがあるのだなと、ほんの少しの優越感が身体の底の辺りにほんのりと灯った。自分だけやられているのは、やはり性に合わない。いつご指摘してやろうかなんて考えるのは今後の楽しみの一つにしておこう。
 ベリーナが黙りきった様子を見かねてかユリウスは立ち上がり、服に付いた土を複雑な表情で叩き落としながら大きく伸びをする。
「さて、こんな格好ではなんだ、一度城に戻ろうか。怪我のお詫びに菓子でも食べていってほしい」
 話の論点が完全に逸れた事にほっとして、ベリーナも調子を取り戻して話に乗っかる。彼との出会いの日に食べた焼き菓子なら是非また口にしたいところだ。
「それは? また『ついで』か?」
「いや、私が作ったものだよ」
 しかし返事は全く予想していないものだった。家庭的な事が得意だとはとても思えない。少なくとも、部屋は物が溢れてあまり整頓はされていなかった。
「まさか……変な実験材料入れていないだろうな? 私まで触手は生やしたくは無いぞ」
 部屋の中身を思い出して、彼が危険な物もあるから触るなと言っていたのが連鎖的に頭の中を流れていった。その類の物を料理に入れるわけではあるまいかと身構えてしまうと、ユリウスはからからと笑った。
「面白い発想だが、それこそまさかさ。自慢ではないが舌は肥えているほうだからね、以前君にあげた物には負けない自信はあるよ」
 あんな可愛らしく包む自信だけは無いがね、と彼は肩を竦めた。
「料理は研究と一緒で、様々な実験と改良を重ねて完成させるものだよ。先日はヒノモトのお餅とやらでサンドイッチを作ろうとしてね、香ばしく焼けるまで随分と試行錯誤したものだ。ただサンドする側の事ばかり考えていたら中身が決まらなくてね――」
「それ、まだ続くのか?」
「……時間はあるだろう?」
 呆れ半分で話をぶった切ると、穏やかな口調でユリウスは言った。
 曇り空を背に立つ彼の向こうには、聖城のベルクフリートが見えた。いい加減垂れ込めている曇天も先程より流れ出しており、雲間から細切れに漏れている日光が何本か筋を作り地上へと伸びていて、その筋の元にはあの聖城もあった。
 あの元へ行けば、日輪を仰ぐ事が出来るだろうか。
「そうだな、時間はいっぱいある」
 左腕に巻いた破れたアームドレスの結び目を解きながらベリーナも立ち上がり、半壊している凍った触手の檻に向かって布を投げ捨てる。一瞬だけその自分達の決意の産物に視線をやり、それからは二人は振り返らなかった。

+++++

 もし私がこれからの生き方を説いたら、聞いている君は笑うだろうか。

 己だけだった世界を広げてくれたお前は、喜んでくれるだろうか。

 日の光に目を細めて歩き出す、私達の姿を。



※ここから言い訳エリア
・酒で薬を飲んではいけません
・神バハもグラブルユリウスは腰辺りから触手がニュルニュルしてるらしいですが、こんだけぴっちり服着てて腰とは……?ってなったので、もうなんか自由にやってます。ドラガリでは一切の言及が無いため致し方ない。ヴァンピィキャラスト読む限り同じように身体から生えてそうだけど、技では地面から生えたりしてるのでどっちも出来るよ知らんけど
・今回は触手が霧散したりしていますが、ユリウスキャラスト1~2話で消えなかったのは深淵の種が本来の力を出していて途方もないマナを持っていたからずっと形を保っていた。という捏造設定です。今は残滓しかないから、もっとこう曖昧な存在になってるのかなーとか
・アルベールとユリウスは子供時代から仲はそこそこよかったんじゃないかという捏造設定
・餅サンドネタはグラブルからです
・ベリーナの左足は鱗かどうか定かじゃないけど、そういう事にしてください
・篭手も定かじゃないけど以下略。そもそもあれは篭手なのかという疑問が以下略
・ユリウスの今後の祖国での扱いが全く見えないので、一応まあ、濁してある感じで
・Q.ユリウス、ベリーナに踏まれてる時に見えてない? A.多分見えてるけどそもそも部屋で見てたし多分気にしてない
・普段より多く呑んだ雷迅卿殿は昼まで突っ伏してましたが、ユリウスのお薬でなんとか元気になってます
※ここまで言い訳エリア

 こいつら、いつも暴走してんな(挨拶)。
 と言いつつ、ドラガリユリウスは現状実は暴走した事やその片鱗は見せていないので、こういうことは無いかもしれないけど、起きててくれると美味しいよね(ドS)。神バハも勝手に動いてどっか行く触手いたし、グラブルに至っては暴走ばっかりなのできっとドラガリもするよ!

 ドラガリってARPGなのに、なんで今までの小説でドンパチしなかったん?という鬱憤を晴らしだした。ああもっと物騒にしたいと思いながら書いたりとかしておりました。
 気付けばかなりの字数になってしまって、記事も分断されてしまった。


 何故この二人なのかというと、単純にユリウスにハマったのと、彼と絡むキャラを悩んでいる時に直感でベリーナを選んだわけです。割りとコンビとしてはすんなり決まりました。
 どちらも「自分のために」力を欲している、ドラゴンの力の片鱗を使っている。その共通点から広げられないかなって。気付けば超絶口の悪い掛け合いが始まっていました。でもこの言葉の殴り合いが書きたかったのも事実です。

 ベリーナを書く時に思ったのが、彼女のキャラストって「成長する物語」ではないんですよね。ただただ「結社から出て城に来るまでの話」なわけです。
 全国のベリーナそのままが良いファン、ごめん。でもね、自分もベリーナ、好きなんです。そしてやっぱり幸せになってほしいの。ブレイクタイム・パッションのベリーナかわいいじゃないですか……ずっとああいう顔をしててほしい。

 ユリウス……は、いやなんでハマったんだ?
 実装当初は真ムムで見た時は触手きもっっとか思ったのに……。
 ノーストンとノエルの小説を書いた時に北グラスティア大陸出身キャラのキャラスト全部読んだんですよ。まあその時には手元にいなくて海外wikiから翻訳して読んだんだけど、あれソフィとかワイスとか好きなキャラが出てたりするし、結構なんというか、自分が好みな展開のお話だったんです。めんどくせー奴結構好きなんですよ。
 やべー欲しー!ってそれから思い始めて、で、なんと急に春のセレチケという謎の物が配布。ユリウスしかなかったんですよ、交換できるものが。
 今ではリリスやアヤオトにがんがん連れていってますが、触手はきもいです。戦闘シーンで出そうとするとなんかR18みたいになっちゃうんですけど、えーっと、自分はエロはNGなので(他の人が語ってる分には全く問題ないです)、出来ればそういう解釈はしない方向でお願いします……。
 後、そのまま神バハとグラブルのお話まで読みにいきました。どっちもめっちゃおもしれー。好きなシーンはもう何度も聞いてる。
 そしてそのまま何故か勢いでバイオ村ことバイオハザード8に遊びに行ってたよ。何故かというと主人公のイーサンが木内さんだったからさ。イケメンだったよ。終わってからロスが酷かったのでバイオ7もやってたよ。バイオ8は怖くないけどバイオ7は怖いよ。バイオ8の発売日にユリウス手に入れてたなんて運命だよね!


 ベリーナはね、割と見た目で一目惚れな感じだったんですよ。褐色白髪って良いよね……っていうのを「世界樹の迷宮3」というゲームでわからせられたんですよ。罪深い人ですよひむかいさん。後、声が伊瀬ちゃんじゃないですか。伊瀬ちゃん好きになったのも「新・世界樹の迷宮」のフレドリカちゃんというツインテWピースのゲロインなんです。何言ってるかわからない人は是非調べてください。しわっ。ひむかいさん罪深いです。
 でも実装当時はFEHコラボ前だったので石使うの控えてて。実際にベリーナをお迎えしたのは半年後の2周年だった気がする。丁度絶エン前だったかな?まあそれに関係なく自分はすぐ育てましたけどね!!
 ホーム画面で「家事でも炊事でも私がナンバーワンだ!」とか言ってるの可愛すぎるよね。平和過ぎる……。


 今回の苦労話。
 割といっぱいあります。
 アルベール出す気は全く無かったとか(グラブルストーリー読んでたら気付いたらビリおじ出てきた)、2回も戦う気全く無かったとか(1回目で全力を出し過ぎて戦いの展開をどうすべきか考えた)、そもそもだけどこんなにボリューム書くつもりなかったとか、推敲する度に何ケ所も書き換えて書き換えて……終わらんよ!いつものことだけど!
 いつも降臨するのが遅いタイトルは、ある程度書けた時(公開一か月前)に三日間くらい悩み続けて決まった。珍しく早い(公開までが遅いとも言う)。

 グラブルのアルベールとユリウスはドラガリと立場が違いすぎて、同じような感覚で書くとまずかったのでそこは……かなり加減が大変でした。グラブルだけだぞ親友殿とか呼び合うの。も神バハももっと関係違うし。

 後、スターシステム話で言うならば、二人とも神バハとグラブルで喋っていたとある台詞を仕込みました。ネタバレ?かは曖昧なので下記ドラッグすると見えるようにしておきました。

『みんな、苦い過去はあるものさ。後悔して、何とかやり直そうとする。そして、新しい一歩を踏み出すんだ』(神バハではヴァンピィと離れたくないスピネが過去の過ちを清算しようとしているのを見て発言。グラブルではアルベールが星晶獣に乗っ取られたユリウスに挑む前、ユリウスの良心と出会った時に言われた)

『偽りの英雄』(神バハでアルベールが自分の事を指して言う。これは父親殺しで団長という立場になったドラガリと同じ。グラブルではレヴィオン二つ目のイベント名が「偽りの英雄達」というタイトルで、アルベールとユリウスの事を指す。物語の英雄に準えて国中で英雄だと噂されていたりしていたけど、実は王をころころしてたのはユリウスで……話すと長くなる……)


 いつも簡単なプロットを書いていて、がっつりそれをここに書いているんですが、今回ですね、微塵も残ってないんですよ、展開が。正直闇に葬りたいくらいだけど、自分が後で読んでふふふとか思うために書いてるのでやっぱり置いとく。

ユリウス視点
マーズを止めてるベリーナを見たユリウス→ユリウス「我々の竜の力の一部でも何か役立てられないか」→ベリーナ「そんな義理は無い」ユリウス「今よりも力が制御出来れば、更に力をつけられるぞ」→タイコウボウ「話は聞かせてもらったっぺ!」→ベリーナ「実験や研究なんてまっぴらだ。私は自由だ」タイコウボウ「アデルペインに勝ちたいって聞いたべよ」→サンゾウ「何してるんですかタイコウボウさんぴきぴき」タイコウボウ「あ~れ~」→ユリウス「君でも笑うのだな」ベリーナ「楽して力を手に入れるなんて間違ってる」

 はい。
 タイコウボウどこ?
 1000字近く書いていたタイコウボウどこ……?
 しかもこのプロット途中で切れててオチが無いですね。はい。


 そんなわけで今後の予定。
 三周年近いですね……。
 ……。
 はい、何も考えてません!いや、ノエルノーストンの後書きに書いた3周年に出来てたら良いねの奴はもうお蔵入りになってて……。
 今新しく別に書こうかなって思っているのは間違いなく長くなるので1ヶ月では無理だし、というわけで別に何かを考えねばならないのではという事態に陥っています。
 何かは書きます。頑張ります。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。
 拍手やコメントをいただけると嬉しくて飛び跳ねます。

☆こちらもよろしくお願いします
cry sky cring(ユーディルとゼシアの短めなお話)
小さな小さな夜の華(スオウとソフィのちょっと真面目なお話)
爪痕を覗いた日(ノエルとノーストンのちょっと真面目なお話)
催花雨(ノーストンとリナーシュの短めなお話)
紅鏡-empty rhapsody-(1/2)(ユリウスとベリーナのちょっと真面目なお話の前編)

拍手[2回]

お名前
タイトル
メールアドレス
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集用パスワード
管理人のみ閲覧
ブログ内検索
カテゴリ一覧
プロフィール
  • HN:
    ヴィオ
    HP:
    性別:
    非公開
    自己紹介:
    ・色々なジャンルのゲームを触る自称ゲーマー
    ・どんなゲームでも大体腕前は中の下~上の下辺りに生息
    ・小説(ゲームの二次創作)書いたり、ゲーム内の台詞まとめたり

    【所持ゲーム機】
    ・SFC GC(GBAプレイ可) Wii WiiU NSw NSwlite PS2 PS3 PS4 PS5
    ・GBAmicro GBASP DS DSlite 旧3DS PSP PSV
    ・ミニファミコン ミニスーファミ PSクラシック
    ・PCは十万円くらい。ゲーム可だがほぼやってない
最新コメント
バーコード
<< Back  | HOME Next >>
Copyright ©  -- ポケ迷宮。 --  All Rights Reserved
Designed by CriCri / Material by もずねこ
 / Powered by
☆こちらもどうぞ