ポケ迷宮。

ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。

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 ブレイズ10周年おめでとう!!

 間に合わなかった!!すまん!!!
 でも少しでもお祝いしたくてちょっと別のお話を書いた!
 世界で祝ってるのが自分だけでも良い!
 おめでとうブレイズ・ユニオン!

 Aルート後のジェノンとメデューテのお話です。カップリングではありません。
 諸事情により短めなお話です。

20'5'29 拍手コメント返信&加筆修正
20'11'27 加筆修正





残響の行方


「うわっ!」
 相手の武器を抑えていた剣がその力に耐えきれず吹き飛び、鈍い音を立てて土の上を残った慣性で滑っていった。その勢いのまま、無様に尻餅をつく格好になってしまったが、ほとんど反射的に懐に差してある護身用の短剣を抜いて構える。
 燦燦と照らす太陽と辺りに奔放に育っている木々を背に、相対する人物は体格には少々似合わない巨大な武器を握って軽々と振り回している。
 視界を刃物が埋め尽くしそうになり、慌てて身体を左へ捻ってやり過ごす。いつも腰に下げている長剣ならまだしも、短剣でその力を逃がすにはあまりにも無謀なことで、
「ちょ、それは短剣折れる、待って待って!」
「そんな事言っている間に脳天叩き割られるぞ」
 短剣は握ったまま慌てて両手を上げると、怒気がこもった声が頭上から降りかかってくる。実際にこちらの脳天を叩き割ってくるであろうことは万に一つも無いのは間違いないのと、もうほとんど勝負の決着は着いたようなものなのとあって、軽い調子で返答する。
「相手も人だし? 僕の隠しきれない美男子っぷりに、女の子達は見惚れてしまうかもよ?」
「相手が男だったら」
「……男も惚れるかもよ?」
 言ってて少し鳥肌立ってきた。はっきり言って男にはそういう目で見られたくは無い。
「……はいはい、なら男に囲まれてなさい」
 そんな事を考えてるこちらにお構いなしで降り下ろされようとしていた斧は、しかし何もない地面に下ろされていた。突き立てた斧に自らの体重を掛けながら、メデューテは大きく溜め息を吐く。「今日はいつになく気が抜けているな。今武器を噛み合わせていたのが山賊だったら死んでいたぞ」
 遠慮の一切ない物言いにジェノンは肩を竦めた。
「山賊が来たとしてもメデューテ一人で十分でしょ。ほら、僕って見た目通り優男だからさ、お役に立てるかどうか」
「それは暗にあたしが馬鹿力だって言ってる?」
「とっても頼れる力持ちのお姉さんって言ってる」
「はぁ……調子の良い奴だな」
 軽口をあっさりと流されてしまい、上げていた両手を地面へと降ろす。まあ軽口とは言っても嘘は言っていないので特に後味が悪くなるわけでもないが。
 そんなことを考えながら地べたに降ろしていた腰を上げようとして、
「あ、あれ……」
 短剣が鈍い音を立てて地面に落ちた、と認識すると同時に、何故手から落ちているのかが理解できなかった。身体に力が入らない、と気付いたのはそのすぐ後で。
 感覚が遠のいて、視界がぼやけて、そのまま景色が消え失せる。
 遠くから自分を呼ぶ声がした。それは間違いなく今旅をしている仲間の声のはずなのに、昔の仲間の声に聞こえた。

+++++

 そこは真っ白い世界だった。
 狭くて真っ白い部屋で、自分は真っ白い椅子に座り、真っ白い机に向かって真っ白い本を広げている。本には何も書いてないけれど、それなのにそこに書かれた何かを必死に覚えようとしていた。それは今の自分にとっては非常に価値の無いもので、無意味で、でも当時の自分にとっては全てだった。必死にやっていた。
 その部屋には色が一色しかなかった。
 でも、その時の自分はその世界が普通で、その世界が全てで、その世界しか知らなかったんだ。

+++++

 唐突に白い世界に暗闇が広がった。それから点々と色鮮やかに光る何かと、複雑な模様を描いて暗い陰影を落とす何かが目に映って、それが星と木々であると気付くのに少しの時間がかかった。先程まで明るかったはずの空の色もすっかり彩度が落ちている……夜?
 自分の息が荒いことに気付いた。身体が重く、上手く動かせない。その気怠さに耐えきれず瞳をまた閉じると、額にひんやりとした物体がそっと置かれた。
 その上から少し感覚が鈍い手を乗せると、少しびっくりしたように物体を置いていた手が震えた。
「あれ、起きてる」
「……今起きたよ」
 ぱちぱちと乾いた音が耳に届く。それがメデューテが焚いている薪の音だと気付くのに少しの時間が必要だった。
 乱暴に手を振りほどきながら、メデューテは立ち上がる。
「熱があるなら先に言ってほしいな。体調悪いのに剣振るうなんて無茶をする」
 そう言いながら彼女は少し離れた所に腰を下ろす。どうやら彼女は食事を既に済ませたらしく、武器の手入れをしていたようだった。
 ジェノンは頭を抱えながら身体を起こす。朝からこの痛みやだるさを感じていたが、この件に関しては完全に自分の責任だった。……言えなかった。遠慮するような仲ではないが、でもなんとなく、後ろめたくて。
「……ごめん」
「悪いと思ってるなら、これでも食べて治しなさい」
 そう言って彼女は底の深い器を手渡した。中に入っている液体は決して食欲をそそるような色をしていないし匂いも好んで飲みたいというような香りはしない。多分、薬草の類をいくつか混ぜ込んであるんだろう。決して美味しくはなさそうだが、迷惑をかけた身である事を考えるとこれ以上我儘を言ってはいられない。
「ありがとう」
「さっさと早く食べて早く寝ること。全く、らしくないな」
 らしくない。確かにそうだ。元はと言えば体調を崩したのも、ここ数日考え事をしていてまともに睡眠を取っていないからだ。普段ならそんな事はしない。自分なりに体調から武器の手入れも全部こなしているつもりだ。元々誰かを頼る事は苦手だったし、覚えた処世術は全て使ってきているつもりだった。
 でも最近その自分らしさが少しわからなくなっていた。前よりも明らかに自由に生きている。何にも縛られないし、何者にも干渉されない。自分らしく生きているはずなのに。
 何にも心が奪われることも無い。
 もうそんな生活を三年もしている。
「……そうだね」
 自分はこの三年近くの間、彼女に甘えていた。彼女は自分達の事をよく知っていたから。あの日、自分達が一緒に築き上げてきたそれが瓦解した日の事も、当事者である彼女はよく知っていた。
 メデューテは本当に姉のように、ただ傍にいてくれた。その事に非常に感謝している。
 だが、それも終わりにしないといけない。
 そろそろ決断しないといけないのだろう。
「――メデューテ」
 乾いた声は、しかし確かにその場に響いた。
 名前を呼ばれて彼女は振り返った。
「君を故郷まで、送りたい」
 自分の未練を断ち切らないといけない。
 彼女との旅を、このまま続けていては、きっとだめなのだ。
 もう、甘えてはいられない。






 ブレイズ10周年おめでとーーー!!!
 本当は、本当はもっとしっかりしたお祝いがしたかったんだけど、戦闘台詞集めようかなって思ったけど攻略wikiにもうある程度載ってるので行き場所を失って、カード詠唱でも録画しようかなとも思ったけど、環境はあるんだけど過去に中途半端に撮ったやつとかもあってなんかめんどくさくなって、その後本題に書いていた小説が間に合わなかったのとでだいぶこじんまりとしたお祝いになりました。申し訳ない……。

 お察しの通り、Aエンド後のジェノンとメデューテです。
 書いていた話が終わる気配がないため、急遽その話の前日譚を書きました。
 つまり、この後も書いてます。
 いや本当はこの後がメイン……ぐすん。

 ブレイズはもうみんなキャラが好きなんですが、一番はやっぱりジェノンなんですよね。
 まあまずTEC4にあっさりなるのでバニッシュさせてもなんかもう何させても強い。マジで頭だけじゃない。
 あのバイオリンメインのテーマ曲素敵。
 Cルート死に際のシスキアとの会話ですよ……なんで死ぬん……?ってなるけど死に際でぐっと来た人もいるのでは?自分ですが。


 ブレイズは本当に自分にとって凄く大きな存在のゲームです。
 ユグドラももちろん面白かったんだけど、ブレイズはそれ以上に周回して遊んだし、キャラに魅力を感じたし、サントラも聞きまくったし、昔取りかけてた動画も結構な量だったりとかなんとか。縛りプレイほんと積んでてすいません。
 文句を言うなら、ハードの上にベリーハードな難易度を追加、反乱軍専用BGM追加、swtich版ユグドラに追加されていた要素を軒並み追加、でswitch版を10周年の今日に発表してくれたら……良かったなぁ……バロックの配信が決定したから多分そっちやってるんだろうなって……。


 後個人的には、エクシズもあると……良いなぁ……でも売れないだろうな……でもずっと好きでいるよ……。


 まあそんな淡い期待は置いといて。

 最後にもう一度、ブレイズ・ユニオン10周年おめでとう!!!!
>20'5'28 (名無し)さん
 拍手並びにコメントありがとうございます!
 こちらこそ本当にありがとうございます!
 世界で祝っているのが自分だけじゃなくて良かった!

拍手[3回]

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