ポケ迷宮。

ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。

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こんな自分を
     自分で認められるなら、
          一歩を踏み出したい。

くだらないものを、守りたい。



 ドラガリ小説7本目。
 自分もびっくり四分割です。一記事のボリュームが限られているので分割してます。
 ドラガリの一つのイベント読む程度の時間が掛かりますが、ボリュームはキャラストくらいのお話のつもりです。

 アルベール・ユリウスを中心としたメインストーリー22章くらいのお話です。
 メインストーリー22章まで、一部のイベント(セイクリッドロスト)、一部のキャラスト(アルベール、ユリウス、カサンドラ)のネタバレを含みます。

 それではどうぞ。


双星のカレイドスコープ


 己の全てを知悉できているのであれば、人は大罪を犯さないと言った者がいた。
 その者は疎通するもう一人の自分を造りだし、心身共に何不自由の無い生活を始める。
 しかし、己を全て知るが故に悟る。もう一人の自分の、至らなさを。一に一を乗じたところで数は増えはしない。
 慢心から起こる悲憤はやがて激情へ、蝸牛角上の争いは成り、二人の、否、一人きりの家を焔で焼き尽くした。

 己の全てが愛され赦されているのであれば、人は満たされると言った者がいた。
 禁忌の術で街一つの人心を掌握したその者は、その生涯を己の手により散らした。
 為すこと全てが認められることは生きていると言えるのか。生前、その者が最期に残した言葉であり、僻した結論の狂乱であろう。
 葬式に参列した者達は口を揃えてこう言ったという。
 あの方の選んだことには従うのみ、と。

 上記は全て仮説に非ず、世界に残された逸話である。 
 この世に完璧は存在せず、この世に純なるものは存在せず。

 しかし、彼らには共感を覚えるのも事実である。
 生を湛える限り、自愛は有り、渇望は有る。

 だからこそ、私は記そう。
 己と、共に歩んだ友の、自愛と渇望の果てを。

+++++

 いつものにおい。
 いつもの風。
 いつもの雲。
 いつもの人達。
 いつもの風景。
 蒼い空に貼り付いている燦々と輝く太陽は、山を、川を、海を、大地を、街を遍く照らしていた。
 目を細めて太陽を見る。脳がずきりとし、世界が一瞬で明滅する。
 顔を下ろして、正面を見やる。白か黒か判らない曖昧な霧が充満している。
 何を焼いたか理解の及ばぬ焦げたにおい。
 息苦しくさせる煙を運ぶ風。
 重く立ち込める雷雲。
 消失していく人達。
 それは、悪夢の光景。
 当たり前の日常を侵して踏みにじっていく。
 青空に向かっていくつもの黒煙が上がっているのが見えた。真っ白だったあの美しい都が崩れ去っていた。
 アルベールの視界に広がる滲んだ世界から戻っても、それは変わらない。
 あの景色は、あの時の故国と同じだ。
 化物が全てを蹂躙し、多くの民が犠牲になった。数年前のあの景色と。
「――おや、こんなところに貴婦人に声を掛けられそうな黄昏貴公子が一人」
「……カサンドラか」
「ククッ、どうしたんだい。こんなところでぼんやりしちゃって」
 まだ視界がぼやけているが、気配と声で誰かは判る。頭の中に見知った女性の顔が浮かんだ。不意な問いにどう言葉にしたものかと答えあぐねていると、
「黄昏るのは個人の自由だけどね、太陽は直接見たら最悪失明してしまうから止めときなよ」
「あ、ああ。そうだな」
 ぴしゃりと言われ、思わず背筋が伸びる。
 見えるものが少しずつ形を持ち始め、隣に立つ若い女性の顔が鮮明になってくる。艶やかな肌には淡い薄紅梅色の唇が乗り、目元にはくっきりと化粧で薄紫色のラインが引かれている。煽情的とまで思える胸元の開いた服が羽織ったストールの合間から見えるが、直視する勇気はあまり無いのでアルベールは思わず視線を逸らした。
 その様子を見て軽妙に持ち主が笑った。完全にからかわれているのは判ってはいたが、どう対応したものかも検討もつかないで何ともなしにそわそわしていると、やっとカサンドラの方から口を開いてくれた。
「いつも一緒にいる坊やはどうしたんだい?」
「ユリウスは人民の誘導ルートの計画班に呼ばれている。俺は待機で……そういえば、貴女もてっきりそちらにいたのかと思ったが」
「最初は考えたけど、聖城もだいぶ頭の回る人材が増えてねェ、年寄りの出る幕は無いのさ」
 彼女は不満とも取れそうな言葉とは裏腹に、嬉しそうにしている。
 今の会話は傍目から見ればおかしなものだろう。カサンドラはれっきとしたヒューマンであり、年月の流れ方は同じくヒューマンであるアルベールと同じだ。
 カサンドラの見た目はアルベールとさほど変わらない年齢の、美麗な女性である。しかし、その実は倍は生きている旧アルベリア王国の宮廷魔術師なのだそうだ。聞いた当時は信じられなかったが、その場に居合わせた往年を知る騎士ライムンドは間違いないと豪快に笑っていた。その時思わず畏まったアルベールに、仰々しく呼んだり敬語を使うのは止めてくれとカサンドラが言ってきてやけに慣れるのに苦労したものである。
 国にいた魔術師、更に齢を重ねた彼女なら尚のこと経験と知恵を持っているはずだが、どうも彼女はその頭を必要とする場には行かなかったようだ。今の話しぶりだと自分から辞退したようにも聞こえる。
「そんなことは無いとは思うが……貴女の知慮深さは南アルベリアでも随一と聞く。まだご隠居されるには惜しいのでは?」
「クックック、そうかもしれないがね、いつまでも誰かに縋り続ける事に変化は起こらないんだよ」
 カサンドラのささめきに、その通りかもしれないとアルベールは思った。自然と浮かぶその誰かは、アルベールにとっては父親であろう。もしまだ剣の師匠でも目標でもあった父親が生きていたとしたら、自分が剣を振るう理由は全く別のものになっていた。誠実な一剣士として、清廉な願いだけを宿していただろう。国からもこんなに長く出ることもきっと無かった。
 確かな事を言えば今の見聞と実力は、そのもしもの予測よりも遥かに上だと言える。アルベールにとっては皮肉なものだが。
「……ひどい有り様だねェ」
 横目でカサンドラを見ると先程まで浮かべていた酔狂な表情はとんと消え、眼差しは崩れ去った栄華の都へと向けられていた。
「アルベリアも内乱でだいぶ姿が変わっちまったが、これはそれ以上だ。手あたり次第というか、理性が無いというか……ここからでも薄ら寒く感じるよ」
「……ああ」
 小さく、それだけしか言えなかった。
 グラン・フィオラータが空気を裂き、その風が大きく髪を揺らす。船の駆動音と風籟。中身の無い情報は、回すべき思考を半端にさせる。
 ユリウス達が今これからについて話している時に、自分は過去に縛られている。余計な思考を洗い流さなければと一人で甲板に出てきたはずなのに、底無しの沼に嵌まっているような気がする。
「古傷がいつまでも疼くのは、誰でも同じだよ」見透かされているような発言に、思わず硬直してしまう。「ユリウス坊やの研究仲間だからさ、種について話を聞く時にね」
 そう言われ、納得する。ユリウスは身体に残っている深淵の種の力をより理解するために、聖城に集っている研究者達と話をしている。その過程でアルベールの父親の話が出るのは当然だろう。父は同じく深淵の種にその身を乗っ取られたのである。その点は特に問題ないし、アルベールも了承している。
 だが、耳を疑ったのはカサンドラがこの後に続けた話の方だった。
「でも聞いていたのと少し違うね。ユリウス坊やはアンタの事、いつも自慢げに話していたのにさ」
「あいつが?」
「ユーディル坊ちゃんと同じような英雄がうちの国にもいて、過去を振り切って堂々としてて、いつもきらきらしてて眩しくて仕方がないって」
 ……果たしてそれが自慢なのか嫌味なのかは判断し難い。大体あのユリウスが自分に対して英雄なんて言う時は含みしかない。
 それに眩しいというならば、ユリウスの方が余程だ。あいつは人並み以上に努力を知っているんだから。誰もが挫折を感じる程に勉学も剣術も必死にやっていた。それがたとえ父への報われない想いであっても。
「でも今のアンタは真っ黒だ」
「……俺だって人間なんだ、それくらい許してくれ」
 悩んでいるところへ、更に追い討ちをかけられる。思わず弱音を吐くと、彼女は静かに言った。
「そうだね。アンタには残酷な言葉だった」
 カサンドラもアルベールを見ない。煙をあげる崩壊した聖都へ向けられている。普段は整えられた髪に隠れている、右目同様に時間をかけて化粧をしているだろう左目も、吹き荒ぶ風で露わになっている。だが、そこにある感情はアルベールには読み取れなかった。それは彼女の生の積み重ねによる濁りだったのだろうか。
「別に感傷的になることに否定はしないよ。ずっと陽でいられる人間なんていないんだから。そうじゃなくてさ、アタシには古傷を抉って、わざわざ忘れないようにしているようにしか見えないんだ」
「違う、俺は……整理しに来たんだ」
「整理? 何をだい?」
「気持ちの整理だ。あの場で動くためには……必要なんだ」
「ふーん……」
 細めた瞳はいつしかアルベールに向けられていた。さっきアルベールが彼女に対して感情を読もうとしていたのと同様に、ただ真っ直ぐに向けられる視線がアルベールの奥底を覗いているような気がした。
 それから彼女は軽く息を吐いて、
「道はね、振り返れば必ずある。戻るのはすごく簡単。じゃあ進むための道は何処にあるんだろうねェ?」
 真一文に結ばれていた薄紫の唇が綻ぶ。
「宿題」
 それだけ言って、乾いた甲板にヒールを打ち鳴らしながら悠々と去っていった。
 取り残される形となったアルベールも溜め息を吐いた。船の駆動音と振動が、身体の芯を麻痺させるように鈍重に唸っている。捉えどころのない彼女と話していたせいか、この音と振動のせいなのか、何処か曖昧な浮遊感に包まれているような気がして、再び船の進行方向へ向き現実へと引き戻す。
 自分は嘘は一言も言っていない。
 整理しに来たのは本当だ。
 今度こそ失敗しない、やらなきゃいけない。
 そう決意を新たにするために来ている。それは過去ではない、これからの自分を奮い立たせるためのものだ。
 あの時まで出来なかった分も、俺が。

+++++

 北の大陸の玄関口へ戻り、自分達はその光景を目の当たりにした。
 かつて自分が招いた惨状をより拡大させたら、きっとこうなっていたのだろうという考えがこれ以上無いくらいに頭の中を支配していった。
 夕焼けが崩れ去った街を等しく赤色に染め上げている中、見知らぬ町人がそれぞれに着の身着のまま、恐怖に追われグラン・フィオラータに乗り込む様を見て、ただただ無意味な思考が流れていく。
 人民の誘導を志願したものの、こんな仕方の無い思考を働かせてしまうくらいならばまだすぐそこの崖の上、上層部に入り込んだ魔獣への対処をしていた方が良かっただろうか。
 だが、しっかり見ておかなければいけないと思ったのだ。自分が引き起こしたかもしれない景色を。
「――い、おい、ユリウス!」
「……おや、団長殿、どうしたんだい?」
「どうって……その台詞、そのままお前に返すぞ。大丈夫か」
 眉を顰め、彼は騒動で乱れた髪の毛を掻き揚げながら話しかけてきた。人の話し声が取っ散らかっているこの空間でも、幼い頃から聞いている彼の声はすんなりと耳に届いてくる。
 ユリウスは小さく嘆息し、天を仰いだ。
「いやなに、サタンというものはこれほどまでのものか、とね」
 聖都グラムスは北グラスティア大陸の中でも特別な意味を持った土地だ。北イリア教会のお膝元であり、南グラスティア大陸とは陸路で繋がっている。政教分離も進んでおらず、交通の要衝を抑えているここは、情勢の不安定さを引き摺る北グラスティアでは煙たがられている国でもある。
 しかし一方でイリア教の思想は平たく多くの民に刷り込まれているため、例えばこの地に侵略戦争をしてしまえば大陸全土から攻撃の的になる。勢力を広げたい者にとって目の上のたんこぶというのは、正にこの都の事を言うのだろう。逆に言えば必然的に中立的立場になるため、平和に近しい街であると言っても過言では無かった。
 その都が、今や無残な姿になっていた。侵略戦争で、ではない。一つの未知の悪夢によってである。
 この辺りは中心地から離れている所謂貧民窟であり被害はまだまともな方であるが、少し首を上げて遠くに視線を向けると、更に理解の追いつかない光景が広がっている。
「夢物語の中にいる悪魔そのものだろう? 犠牲者の数は……出来れば数える役目は担いたくないものだが」
「おい……!」
 非難のこもった声で言葉を止められる。
「解っているさ……」
 私の時と違って犠牲者が戻らない事くらい。
 そんな事を頭の片隅で思ってから吐き気がした。否定したいのか、やはり自分とは関係無いと他人事だと思いたいのか、心の中の自分は数歩後ろから自分の背中を無感情に見ている。何も無い。何も思うことが何もない程に自分は空っぽなのか。目に、脳裏に焼き付けなければいけないのに、自分の中は洞のように穴が開いていて何処までも空虚だった。かつて願ったはずだった目前の――
 その時だった。
 数十人もの人の波が途切れそうになる場所。
 上層部に存する炎を吹いている家からみしりと巨大な音がしたかと思うと、崖際に置かれていた倉庫を押し倒していく。柵を押し破って、半壊して潰れかけている倉庫が男性と子供、その二人の上に落下を始めていた。
「……伏せろっ!」
 反射的に叫んだが、同時に舌打ちが漏れた。もちろん声なんて届かない。届いたのはグラン・フィオラータを目前に安心しきった顔を浮かべていた住人達だけ。突然の乱暴な命令で硬直している人々の頭上を超え、瞬時に集積したマナを放つ。
 先程あんな事を考えていたからか、……あんな風にこの景色を他人事に思っていたからか。
 魔法は思い描いていた軌道から外れて、
 ――間に合わない。
 そう思った時だった。
 隣にいた人影がふっと消え失せたかと思うと、夕焼けの紅い光と濁った黒い煙を切り裂いて空間に白い稲妻が迸る。
 正にそれは迅雷が走るが如くであった。
 動転した人達の悲鳴を浴びながら、刹那の間に稲妻が男性と子供の元へ辿り着く。かと思うと、地面から高く打ち上がった。閃光が落下物を突き飛ばし、それは無残にも、幾重にも砕けていく。
 鼓膜を揺るがす殷々と轟く音。
 それは圧倒的な破壊の力であるはずなのに、無数の星々を彷彿とさせるような幻想的な光景とも言えた。
 そんな奇跡のような夢幻的な光景は、仙火焔の輝きのように一瞬で起こった。

+++++

「一つ考えて、きみの事が浮かんだ。アルベリアの遠い血を持つ、きみの事を」
 二人きりで話がしたいと言われて訪ねると、夜空に浮かんだ三日月を背にして彼はそうして口火を切った。彼はいつも着ている鎧を脱いではいたが、腰に剣は差したままだ。焼けた木材を踏みしだく音が、周囲の木の軋む乾いた音と共に流れてくる。
 夜空は、空を覆う煙と巨大な移動船グラン・フィオラータの輝きで霞んで見えて、やや明るくすら見える。その向こうにある星の輝きは、殆ど地上まで到達しない。むしろこの不気味な白けた夜空を見ていると、空が近付いてきていてそのまま地表に覆い被さるように落ちてくるんじゃないかという恐怖を少し覚える。
 そんな景色を背負い、彼は語った。聖なる樹での話を。ネデウという人物が持たざる者であり、故に望んだ世界があったことを。ユリウスは黙って聞いていた。
 内容は俄かには信じ難い話ではあったが、目前の聖都や自国の深淵の種による惨状を見るに、この世の中には理解の範疇を超えるものというものが必ずある。そんな事象に否定から入る事は全く建設的ではなく、むしろ徹底的に理解することから始めるのが研究者というものである。
 鼻をつく焼け焦げた臭いと共に大きく息を吸いむせ返るような煙を肺の中で回してから、ゆっくりとユリウスは言葉と共に吐き出した。
「全ての者が竜化の可能性を持つ世界、か……」
 自分の口で改めて言ってみると、とても違和感があった。その言葉は周囲の焼け焦げた臭いと一緒に喉元でいがいがと引っ掛かって、今ユーディルに話してもらったどんな事実よりも自分にとって現実感が無かった。
 竜化。それは大前提としてアルベリア王家の竜の血を継ぐ者、そしてドラゴンと契約を行ったという限られた者に許された神秘の力だ。
 端的に言ってしまえばこれだけで良いのかもしれないが、ユリウスから言ってしまえば説明不足である。
 竜の血を継いでいることは必須条件ではあるが、しかし半端な竜の血では竜化は出来ない。枝分かれした傍系のその末端には不可能であり、その事象について幼い頃から文献、知見、何より己自身によって多知であると自負すらしている。まだ結論を出しているわけではないが、現段階では限りなく可能性はない、と言うのが正しい。
 それ程までに竜化という現象は、手の届かないものなのだ。多くの者にとっても、何より自分にとっても。
「すまない、実感が沸かないようだ。どうも……」
 声が尻すぼみになり、中途半端な応答になってしまう。そこまで言って、安直に伝えきれない感情が腹の底の方で停滞しているのを感じた。
 全ての者に竜化の可能性があるとすれば。
 その仮定を、当然考えなかったことは無い。
「確かに私は皆が平等であるなら、とは何度も考えたよ。一面真っ白に染まる雪景色を見ては世界もこんな風であるならと……そう思った事もあるね」
 彼の話したネデウという人物には、共感できる部分がいくつもあった。境遇についてもいくつか似ていると言えるのだろうから、当然なのかもしれない。性格の形成には生まれつきのものと、成長過程での影響の両面があると言う。
 しかし、似ていると同じは全く非なるものだ。
「私が仮にその手段を知ったとしても、彼のような選択はしなかっただろうね」
 そう、断言できる。
 一切の曇りない口調に、ユーディルは驚いたように目を見開いた。
「それはどうしてか、訊いても良いかい?」
 共通点を見出して話をしてきた彼のその反問は、至極当然だったろう。予想通りの問いに、ユリウスは肩から大きく息を吐いた。
「残念ながら彼と私は決定的に違うようだ。私はね、己の昏い感情に勝てない弱い人間なんだよ。いつだって自分のために動いてきた。きっと彼と同じ選択肢を提示されたとしても私は選ばないだろう。ましてや父が竜化出来る様になるなど」
 そうなれば、自分の価値なんて万に一つも存在しない。藁にも縋るような希望すらも消失し、完全に自分が必要とされなくなるだろう。一人の人間の狭い視野の世界の話ではあるが、可能性が閉ざされた世界であるのとなんら変わりは無いのかもしれない。そんな世界の訪れはただの不幸でしかない。
 なんて蚊虻な考えであろうか。心の片隅で哀れだと思う事は出来ても、考えは覆らない。最初から彼の語る手段がぶら下がっていたとしても、きっと己と父が同じ舞台に上がることを良しとしなかった。
「それに、そんな世界が訪れたとしても選ばれない者なのだろうと卑下してしまうのだよ。父に、城の者にそう煙たがられ劣敗者だと言われ続けてきた。だから少しでも、何処かで自分が救われる事が約束されていないと踏み出せない、そう思ってしまうんだ」
「それはきみだけの考え方じゃないと思う」ユリウスの呟きに半ば被せるように、ユーディルは言った。「ユリウスが弱いだなんて、おれは思わない。きみはそこで仕方ないなんて思わなかった。努力して知恵を身に着けて、腕だって立つじゃないか。それは境遇に、必死に戦ってきたからだろう?」
「行き着いた結果が、何百人と無関係の人間を巻き込んだとしてもかい?」
「でも彼らの支援は今でもし続けている。きみが踏み出していないとは言わないよ」
「それは必然的な償いであって、私の存在証明にはならないさ」
「……」
 言い淀んだ青年を見て、ユリウスは自虐で肩を竦めた。冷えきった氷のような風が障害物を避けるように首元を、耳元を走っていく。
 漠々とした夜空の鈍さが、今の自分の心のようだった。あの頃のままの自分だったら、日常を突如破壊されたこの光景を見て何一つ感じないだろうとは思っていた。でも結局今も同じだ。何処か遠い空の下の出来事のように見ている自分がいる。かつて何百人の生活を壊した自分の心の逃避なのかもしれなかった。城にいて、部屋に籠っていた時と変わっていない。
 ユーディルは否定してくれているが、やはり自分の世界はちっぽけだ。
「私の考えが、参考にならなくてすまないね」
 詫びを入れると、ユーディルはふるふると首を振った。
「いや、こっちこそわざわざ時間を取らせてしまって……ありがとう、ユリウス」
 そう言ってユーディルは不意に背を向けた。マントも鎧も着けていないと、まだ成長期の途中である少し小さな背が露わになる。数歩歩いた彼の足に小石がぶつかり、連鎖的に焼けた木材に当たった。
「さて、もう夜も遅いし、ユリウスもゆっくり休んで――」
「王子、話はそれだけではないのではないか?」その背中に、ユリウスは問い掛ける。「今の話、わざわざ誰もいない所で話す話でもあるまい。仮定の話なら誰が聞いていても構わないはずだからね。何か私に話したい事実、というものがあるのではないかな?」
 ユーディルの足がぴたりと止まった。ほんの僅か離れただけなのに、闇夜と漂う煙のせいで何枚か薄い幕の向こうにいるようにも幻のようにも見える。
「流石にユリウスにはお見通し、か」ぎこちなく顔を半分だけ振り向かせ、苦い顔で微笑んだ。「きみの気分を悪くさせると思うんだ。だから悩んでいた」
 存外にお人好しな王子は、自分が知る限り弱みを見せる事も少ない。恐らく今は貴重な機会だ、一方的に遮断してしまうには彼にとっても毒だろう。
「別に構わない。私の気分が悪くなるために、父親以上の武器は無いからね」
 軽く冗談を言ってみたが、ユーディルからの反応はない。それどころか、彼が更に一回り小さくなったようにさえ見える。
「王子の父君の話なのか? それかまさか私の……」
「い、いや、レヴィオンは関係ない。父上は……関係あるかもしれないけれど。おれの、身の上話なんだ」
「君の? ああ……」
 こんな時期に新アルベリア王国のトップが北グラスティアに行くのは国交に関してと公にはレオニードが聖城で吹いてはいたが、親しい者はその実を知っていた。
 ユリウスも北グラスティアについての話を尋ねられた時に、彼自身の身上の話は少しは聞いていた。自分の素性が解らない、もしかしたら王家の者では無いのかもしれない……。
「話してくれ、王子」
 短く、鋭く、続きを促した。
 ユーディルとの間に、びゅうと一際大きな風が小さな塵や砂を浚いながら流れ、空を濁して拡散する。
 ユーディルは彼我の半端な距離のまま身体を横に向けたまま、問うた。
「ユリウス、叶えられない羨望という気持ちはどう対処すれば良い?」
 そう言ったユーディルの翡翠色の瞳は、先程風が流れた先を仰いでいる。宙を舞う塵はもうその瞳には映らない。
 彼は少しずつ口を開いた。北グラスティアでの事を拙く、自分の中で噛み砕いていくように。先程話したネデウという者の話に加味して、彼は彼自身の素性に関することを語った。
「そうか」
 ひとしきり話を聞き終えて、ユリウスはそれだけ呟いた。強い嫉妬すら覚えた彼の器を、虚構であったと彼は言った。その表情は深刻にも見えるが、彼の中で多少は処理が出来ているのか、それとも押し込めているのか、取り乱したような素振りは一切見せない。どちらかというと、その様子は諦めに近いのかもしれない。
「おれはずっとアルベリウスから続く血脈を誇りに思っていた。魔神から始まった南アルベリアの凶事に立ち向かうことが使命だと思っていた。だが、現実は違った」
 確かに彼の言う通りならば、その身は王家の者でない、人ですらない。
「それでも……おれはアルベリウスの、父上の背中を目指したいと思ってしまう。今の新アルベリア王国に集ってくれている民を騙してでも。その資格が無くても、おれは今の場所に立ち続けたいと思ってしまうんだ」
「騙して、か……」
 彼の放った言葉を舌の上で反芻するが、ころころと飴玉のように転がってあっという間に溶けていった。今これ程、この言葉が荒唐無稽だったことがあろうか。
「君は私なんかと違って、最初から求められている理想像が強大過ぎるんだな。兄君や姉君も優秀であるが故に」
 確かに彼の言う通り、手の届かない羨望であることに違いはない。だが、ユーディルを苛むものは自分とはまた違う苦悩だ。彼は盲目過ぎる。
「血脈とは、確かに具象的なものだ。それは決して揺るがないだろう。私がアルベリア王家の傍系で竜化が出来ぬであろうことも、君がその王家の者しか望めない物を見られないのも、揺るがぬ事実なのだから。竜の血で悩んだことに至っては私の方が先輩だからね、よく解るさ」
 だから、自分はユーディルに強く嫉妬したのだ。類まれなる復竜契約の才を持ち、王族として誇りを持ち、民からの信頼を得て、英雄として名を馳せていた。自分が欲する全てを持っている強者だと思った。帝国が台頭してきた時から南グラスティアにいたからこそ、彼の発起が民の希望になっていたことは肌で感じていた。
 そんな相手が燻っていることに、ユリウスは怒りすら覚える。眉間辺りからマグマを流し込まれて頭の中で波打っている。
 確かにユーディルの言う通り、気分を害する話だ。ユーディルは自分がそういう人間じゃなかった、だからユリウスが失望するから……という理由なのだろうが、実際はその逆だ。どうも彼は自分のことを蔑ろにする癖がある。
「王子、君の言うアルベリウスや父君は人間の形をしているか?」
 一息吐いて、ユリウスは彼に一つの問いを投げかけた。彼の披瀝となんら関係の無いように見えるその問いに、ユーディルは訝しみながらも答える。声は小さく、それが正解ではないことを解っていながらも。
「父上はいつも謁見で会っていたし、アルベリウスの肖像画は常に城に飾られている。それこそ思い浮かべて絵でも描いてくれと言われれば描けるけど……」
「では君の言う彼らに、顔はあるか?」
「顔……?」
 理解ができない、とユーディルは眉を顰める。矢継ぎ早にユリウスは話す。
「魔神を封じた王家の始祖だった。父で賢王だった。そこから誇張して話すことはいくらでも出来るだろう。だがそれは人を寄せ付けなかった者達の逸話でしかない。君はそう言った背中しか見えぬ、顔も見えぬ者達が指導者の方が良いと思うか?」
「それは……、平和を作って、安定させる。それがおれ達がやるべきことだ。人を導く立場である以上、そんな存在に行き着くのは間違いでは無いはずだ」
 ユーディルは鞘に手を掛けながら淀みなく言った。
「……そうだね。私もそう思っていた。我々が教育させられた帝王学にも通ずるものがあるだろう、波風を立てぬ恒久を望むならばと」
 だが自国の城で強過ぎた統率者をこの目で見てきた自分は、この至論が決して優れたものではないと感じていた。
「民はいつしかこう思うだろう。誰かに従っていればそれだけで良い、安心がある、平和がある。魅力的に聞こえるかもしれないが、それは将来的に見れば一種の毒巣でもある。固定化された世界は悠揚で心地良く、考えることを必要としなくなるからだ」
 この考えも必ずしも正しいとは言えないのだろう。民が不変を望んでいることも事実だろうから。知識を得ることを苦とせず研究者をも名乗り貪欲な自分だからこそ、こうして変化を求めているだけなのかもしれない。それを他人にまで求めるのはどうなのか、そう叱責されたら、きっとレヴィオンの城に籠っていた頃の自分なら答えに躓いた。
「私はここ数年で国を多く渡り歩いた。西へ東へと見て……その国の中で新アルベリア王国の民が一番活気を持ち、日々を生きている」
 アルベール達に敗れ聖城に来て、動けないユリウスは彼らの生活を近場で眺めることから始まった。
 ある日中庭を覗くと、ユーディルが野菜の収穫の手伝いをしていた。顔まで泥塗れになっていた。その最中、一部の野菜が病で腐っているところがあったらしく、土を掘り返しては項垂れていた。一緒に収穫をしていた城の者はすぐにあれやこれやとユーディルに身振り手振りを交えて何かを話していたかと思うと、更に別の人物は城の中から別の人間を連れてくる。彼らの話を熱心に聞いたユーディルは更に別の人物を連れ……輪はどんどんと広がった。
 後に聞くと肥料、管理等、普段農業を営んでいた者から貴族の者まで多くが関わったという。そしてこれが聖城の日常だとも聞いた。自分が見たのはその切れ端に過ぎなかった。
 ユリウスには信じられないことだった。仮に自国ならばこうは行かない。まず王が土まみれになることが無い。王は安寧を約束する代わりに、大事でない限り動かない。
 まずそこで話は終わってしまう。それを差し引いて続けたとして、民から王への直接の進言は早くとも三日前、そして受け入れられるとも限らない。王が興味がなければそれまでだからだ。そしてあの男、いや、代々の王も軍事以外は基本的に興味は持たなかった。
 息子であるユリウス自身も何度も国の執政について請うてはその殆どは聞き入れてもらえなかった。たまに側近が拾い上げてくれることもある程度だ。聴許という考えがそもそも無いのである。
 詰まるところあの男はそういう男で、あの国はそういう国なのである。騎士団等の軍事の運用に関しては文句のつけようが無い采配を持つため、不安定な北大陸でも国は十分に立ち入っていけている。
 だが力を持つ者は王だけ。民はそれに従うだけの国なのだ。
 一方で新アルベリア王国は、王と民の国だった。人の上に立つ者は強者であるべし、そんな根底を覆された気がした。
「決して君の国は凪いだ国ではないが、皆が意志を持って行動している。それは君が……君が、強過ぎないからだ。王子、君がさっき言った言葉を思い出してくれ。境遇に必死に戦ってきた、仕方ないなんて思わなかったと。裏を返せば必死にならなければいけないほど、弱かったからだ」
 そう、彼は強者ではなかった。悩み傷付き、それは決して一人で何かを為す指導者の姿なんかではなかった。アルベリウスや、前アルベリア国王アローラス、そして故国の……あの男とは違う。
 言ってて頬骨が強張っている。心臓が小走りしているように、脈が早くなる。
「そうして得たものは、君の血肉になっているはずだ」
 今の彼の悩みは彼自身だけを見ている、画一的な考えに過ぎない。
 だがそのものの見方は、他ならない、ユリウス自身を彷彿とさせる。言いながら、吐き出したものを胃に無理やり戻し詰め込んでいるような不快感が走る。
「だから、君は君の思うままで進んでいけばいいのさ」……ああ、本当に馬鹿げている。「実際の血脈なんて……関係ないんだ」
 必要なのは血統ではない。
 そんなこと当の昔に知っていた。
 だから、故国の王城でアルベールが次の王に相応しいという噂が流れた時に、自分は思ってしまったんだ。仕方無いかもしれないと。彼と比べて何もかもが自分には足りないと。情が、才が、信念が、力が。
 ぼそりと言葉を落とすと、ユーディルは目を見開いた。しかしそれをユリウスは確認するだけして、大きく身体を背ける。
「なあ、」声のトーンを上げて、背後を振り返る。先日まで誰かが住んでいた住居だったはずの瓦礫の山が横たわっている、その向こうへ。「君達もそう思うだろう?」
「……ユリウス」
 炯眼を湛え、小声でユーディルが呼びかけてくる。先程から彼は左腰に提げている剣の鞘に手を掛けていたので、同様に気配に気付いていたようだ。その向こうにいる者が隠密行動に長けていたとしても、マナの察知能力に優れた人物には容易に見抜かれてしまうものだ。彼らの目算は、やはり甘い。
「そこに誰もいないなら、ここの廃材を纏めて飛ばしてしまっても構わないのだろうね。何しろ今のままでは道を塞いでいて邪魔だ」
 仰々しく言いながら手にマナを収束させてみせると、二つ程あった気配があっさり遠ざかっていく。想定範囲内の反応で面白味に欠ける。まあ自棄になって突撃されるような真似はしないだけ利口ではあるか。
「待て!」
「おっと王子、追わなくても大丈夫さ」
 駆け出そうとする背中を静止する。地団駄を踏んで彼は振り返り、
「だけど……!」
 と焦燥を滲ませ、ユーディルの踏んだ瓦礫がざらざらと荒い音を立てる。こちらも実に思い描いていた通りの動きである。
「彼らは、とある北国の暗殺を請け負った者達だ」
「なら尚更……」
 彼の焦りを流しながら、手に込めたマナを勢いを付けて空へと飛ばした。明滅する仄かな青い光が、けぶった空に筋を作って昇っていく。それは激しい主張もせず、そのうちゆっくりと消えていった。
「話は最後まで聞いてくれたまえ。もうアジトの場所も割り出していてね。実行部隊の二人が出た瞬間にキルスティ将軍率いたスヴェニトラの者に押さえに行ってもらったのさ。これから挟み撃ちでも受けるのではないかな」
 そこまで聞いて、彼はようやく剣の柄から手を離した。眉根を寄せているその顔は安心したという表情よりは少し遠いが、緊張は緩めてくれたらしい。
「まさか……対応が早いな。今のも、もしかして合図なのか?」
「ああ。お互いいつ何時、命を狙われてもおかしく無いだろう? だから聖城にいる北の要人とは良くさせてもらっているよ」
「こんな時にまで……いや、こんな時だからこそ、か」
 彼はそう言って口の端をきゅっと結ぶ。心の底から彼が平和を願っていても、環境がそれを許さない。これまでも、きっとこれからもそうだ。
「そうだね、……時に天災の混乱に乗じてこうした画策を行う者はいつの世でもいるものだ。こればかりはどうも立場が邪魔をしてしまう、が……」
「つまり立場と血脈は関係ない……か」彼は項垂れた。古くからの友とはまた異なった色合いの金色の髪の毛が、寂びた風に揺れていた。「ありがとう、ユリウス。話しにくいことに付き合ってくれて。おかげでだいぶ気が楽になったよ」
 ほんの少し温和に笑った顔は、しかしすぐに真面目な顔付きに戻る。
「昔、父上が言っていたんだ。アルベリウスの欠点は強過ぎたことだと。もしおれが自分の出生を知らなければ、きっと……」
 彼はそこで言葉を切ったが、続く言葉は聞かなくても理解できた。
 ユーディルは改めてユリウスに向く。顔を上げて真っ直ぐに。様々な鉱石を含んで尚も澄んだ輝きを見せる翡翠と同じ色の瞳が、ユリウスを見上げる。
「きみは変わったな。はっきりと、こんなこと言ってくれると思わなかったよ」
 ユリウスは何も言わない。こちらのペースで喋っていたのに、急に自分が話の標的に戻されて鼻白む。
 変わったのだろうか。だって自分はまだ割り切れていない。理解しているにも関わらず、戻る場所があるにも関わらず、あの国に足りないものがあることを知っているにも関わらず、まだ空っぽで何も無い自分勝手なユリウスが巣くっていて。そいつは聖都の崩壊を無機質に見ていた。そして時折話し掛けてくる。父に、国に復讐をしろと。そんな悪魔を抱えたままで、よく血脈が関係ないなどと嘯ける、そんな自分は今一体何処にいるのだろう。
 細めた双眸が、ユリウスの横顔を一心に見つめる。
「ユリウスの気持ちが完全に解ったなんて言わないけど、おれもきみに言いたい事は同じだよ。何処かで自分が救われる事が約束されていないと踏み出せない、ユリウスはそう言ったね。だから、きみが何かを決断するのに躊躇っていたらおれ達が助けると、約束する。おれや仲間達が助けるよ」
 純粋な厚意。
 そう言って笑った顔は素朴で、友人を思う青年の顔というだけだ。
 古くからの知り合いと伯仲する程に眩しい彼の顔から逸らすように、ユリウスは俯いた。
 彼と自分では、根本から違う。
 そう、自分は……荷を抱えて、立ち止まったままだ。
「君は……本当に……本物なんだな」
 王子で、英雄で。
 だが、自分は――
 その呟いた声は風に流れてユーディルの耳に届くことは無かった。

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