ポケ迷宮。
ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。
オクトラ2小説11作目。
とても短く、2.0千字程度のお話。
ソローネとピルロの淡いピルソロでカップリング要素が淡くあります。
それでは「触れられないもの」です、どうぞ。
とても短く、2.0千字程度のお話。
ソローネとピルロの淡いピルソロでカップリング要素が淡くあります。
それでは「触れられないもの」です、どうぞ。
触れられないもの
「知ってる? 赤帽子の伝説」
彼女がいつもの廃墟と化した建物の屋上でそんな他愛もない話を涼やかに始めたのは、仄暗い闇にそろそろ巨大な光が差し始めるような頃合いだった。
薄着で出たら一瞬で身体が硬直して痛みまで伴うほどの冷気が辺り一帯を支配している。何処かの金回りの良い奴から盗み出したこのコートが無ければ、こんな所に一秒だっていられない。それは隣に立っているソローネも同じだ。
「知ってるも何も」ピルロは煙草を口から離して吐息混じりに答えた。「街じゃその噂で浮ついてる」
錆びの浮いた欄干に触らないように下を覗き込む。今は殆どの家の明かりは消えているが、裏街の賭博場を始めとしたいくつかの建物は爛々とした下品な光を放っていた。その光を浴びてる寂れた建物達は、別方向に煌びやかな飾り付けが施されていて、普段通っている酒場ですら場末の擦れた空気を跳ね除けるようにその赤帽子にあやかって客寄せをしているようだった。
表の華やかさから隔離されたような裏街ですらどこか浮ついた空気が流れているのが、なんとなくピルロは気に食わない。
「寝てる間にガキの枕元にこっそり物を置いてくなんて、盗賊の中でも余程変わり者だぜ」
「なんで盗賊だって言えるの」
「家に勝手に忍び込むのなんざ、俺達みたいなしょうもない連中しかいねえじゃねえか」
思ったことを正直に言い放つと、少しすっきりした。夢物語を語るのはとうの昔に止めて、灰色な世界に自力で色を塗って暮らしてきているというのに、他人から物を貰って幸せを得るのが目的のようなこのお祭りは、なんとも醜悪に見える。
隣に立っている彼女はというと、元々表情の乗っていない顔はそのままでいつもの酒場を見下ろし、
「ピルロってねじ曲がってるよね」
「曲がってねえ。まっすぐ現実見てるだけだ」
「現実ではそりゃありえないけどさ、私は素直に来てほしいなって思うけど」
「……何か欲しいもんがあんのか?」
何の迷いも見せずにそんなことを言うので、ピルロは目を見開いて思わず訊いていた。彼女もどちらかというと幽霊だの呪いだのの類は信じない人種のはずだ。
こんな話を肯定するということは、信じることで自分が何かしら恩恵を受けられるからだろうか。だが、お金は仕事をしてれば手に入る。お金がそれなりに回る街で、それなりに金回りの良い組織にいるからか、自分達の手元にあるお金も浪費癖が無い限りはやはりそれなりな額にはなっているはずだ。それで何を買おうが自由は約束されているのはソローネも同じはずなので、咄嗟に彼女が言っているものが何であるかが頭の中に浮かばなかった。
「さあ、どうでしょう」
煙草の細い煙が波を打ってくゆり、彼女の黒紅色の瞳の行き先を曖昧にさせた。
「んなにもったいぶるところかよ」
何か欲しい服やアクセサリーがあるんだとしたら自分にも手が届くだろうなあと漠然と考えていたところだっただけに、ピルロは(あくまでも内心で)肩を落とした。長い付き合いの自分にさらっと言えないような物なのだろうか。
もしくは、自分と同じ考えだったなら——
「だって、」そんなピルロの悲観を他所に、彼女はぽつりと。「言ったら、ピルロが頑張っちゃうかもしれないでしょ」
的確なナイフ捌きに似た呟きに、ピルロは閉口する。考えていた様々な選択肢から絞り切ることは出来なかったので、
「……さあ、どうだろうな」
これ以上口を開いていると何を言えばいいか定まらないし、さっさと煙草で口を塞いでしまう。全く、煙草というものは人との交流が苦手な奴が考えたに違いない。少なくとも今は赤帽子よりは感謝している。
思考を強制的に止めてソローネを横目で見ると、彼女の陽を浴びていない不健康に近い白い肌とは対照的な、桃色の唇が薄っすらと持ち上がっていた。からかってるような、どこか寂しそうな、その笑みの本当の意味は、自分には理解できなかった。その様子を一々追及することも面倒だったし、何より、自分の中の対抗心がそれを許さなかった。
そんなこちらの考えすらも察したのか、彼女は視線とこれまでの話を頭上へと投げてしまった。
「帰ろ。もう月が隠れるし……明日は仕事だよ」
「……だな。明日も……仕事だ」
「うん。明日も……ピルロと同じ現場だっけ」
「そうだぜ。寝坊すんなよ? 取り分全部貰っちまうぞ」
「それは……うん、困るかもね」
ソローネは踵を返す。口元に咥えた煙草の煙の向こうで、切り揃えられた黒髪のショートヘアが風に煽られている。闇を切り取ったような髪が裏街の明かりを受け止めて、無限の色彩を持って淡く輝いていた。その隙間から見える翡翠色のピアスが不規則に漂っている。
——赤帽子の伝説が。
伝説がもし本当でも……それでも、一番欲しいものは手に入ることはないのだろう。自分が恩恵を受けることも無いのだろう。だって、形のないものは枕元に置けない。
短くなった煙草を指先で潰すと、指先に一瞬の熱と激痛が走る。無残な姿になったそれを背後に投げ棄てながら、ピルロはソローネの背中を追った。
※ここから言い訳エリア
・二周年祝いでなんで時季外れのクリスマスなのか?正直自分にもよくわかりません
※ここまで言い訳エリア
わー今更だけど二周年おめでとうございますーー!(挨拶)
からなんかもう一か月近く経っていますが皆さまお元気でしょうか。
こちらはようやく時間が空いたので溜まってた記事やら何やらを放出させることができそうなできなさそうな感じになっています。
この小説は世の中にこそっとお祝いの気持ちを込めて軽い気持ちで上げた淡めのピルソロになっております。ちゃんと……ちゃんと2周年にあげられてるんだ……!と証拠を残すような気持ちで置いておきます。
オクトラ2
2周年おめっとなピルソロ
何故かよくわからないがクリスマスネタになった pic.twitter.com/Yt1htHiQp1
— ヴィオ (@chiika_kirby) February 24, 2025
赤帽子のお話はご存じの通りオクトラ大陸のニコラのお話からいただいております。所謂サンタクロースですね。ソリスティアにもこの伝説があるかはわかりませんが、多分あの町は商魂たくましいので勝手にあやかって商売道具にするんだと思います。現代もそんなもん!!だし!!
やっぱなんというか、この二人のなんとも言えない独特の気だるげな雰囲気が好きで、この世界を生き抜くための手段という小説で思いっきり書かせてもらったんですけど、やっぱりこの二人をもっと書きたくなったよね。カップリングと言うには綺麗過ぎない感じがなんか、好きなんですよね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
もしよろしければ拍手やコメントなどいただけると嬉しくて飛び跳ねます。
以下は他のピルソロ。
この世界を生き抜くための手段(本編数年前の2.8万字程度のお話)
この世界を生き抜くための手段(本編1章直後の2.2千字程度のお話)
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HN:ヴィオHP:性別:非公開自己紹介:・色々なジャンルのゲームを触る自称ゲーマー
・どんなゲームでも大体腕前は中の下~上の下辺りに生息
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