ポケ迷宮。
ネッツの端っこにあるヴィオののんびり日記的な旧時代的個人ブログ。大体気に入ったゲームについて語ってます。
ドラガリ小説9本目。
4周年バタバタして無理だよ!!と思ったけどどうしても書きたくなった結果かなり短い小話のようなものが出来ました。
イベントストーリー「ロストヒストリア」のネタバレを含みます。
それではどうぞ。
4周年バタバタして無理だよ!!と思ったけどどうしても書きたくなった結果かなり短い小話のようなものが出来ました。
イベントストーリー「ロストヒストリア」のネタバレを含みます。
それではどうぞ。
無私の愛は果てを目指し
「痛っ」
鋤いていた髪の毛に櫛が引っ掛かり、静かな部屋で思わず声をあげてしまった。誰も見ている者はいないのに、つい周囲に視線を移してしまう。当然何かあるはずもなく、一人でそっと溜め息を吐いた。
肩を大きく上下させて、改めて目の前の鏡に映る自分の顔は、隈が浮かんでいて少しやつれて見えた。
(最近旅続きで肌も荒れてるわ……)
少し休みをもらうべきだろうかと思案して、明日から漁村をいくつか回る予定を疎かにするわけにはいかないと気合いを入れ直す。今年は不漁で村民も飢饉を不安がっているという。中にはセントロータスというマーキュリーが守護竜となった街もあり、日頃支えられている先方には何かしらの支援が出来ればと思っている。
そしてその気持ちを抱いているのは今や自分だけではなかった。多年を重ねて同志を増やして、同じ思想を抱く者の人数は自分でもはっきりと判らない。自立している組織だって多い。
誰かを助けたいという想いは何も特別な感情ではない、今協力してくれているドラゴンやヒューマンも同じなのだと強く実感している。
髪の毛の絡まった櫛をなんとか解いて化粧台の上に置き、黒い蝶のヘアピンを手に取った。かつての自分だったら決して付けない色合いの物。でも決意した当時から、ずっと身に付けている物。それを左目にかかっていた白磁色の髪に差した。
鏡に映る自分の背後で、掛け時計の鐘が鳴り集合の時間を知らせる。慌ててヘアゴムを口に咥えて髪の毛を取り纏めに入る。自然に従って流れる髪を纏めながら、残響する鐘の音と共にふと考える。
もし時が戻ったら。
時が戻り、この選択をしたきっかけが起きないようにしたら。
何度も、何度もあの時から自問した。
あの世界を揺るがす争いの結末を、何度呪ったかは判らない。
世界中で生み出される安堵と未来への希望の声から耳を塞いでしまいたかった。強い哀しみは、枯れる程の涙を招いた。臆病な自分が、また戻ってきたみたいだった。
手首の中でヘアゴムをくるりと一回、二回と回して髪を整える。
――でも今は違う。
あの子が未来を守ったことを、犠牲だと言いたくはないから。
終焉を先延ばしにしただけと言いたくないから。
また世界の危機が起こった時のために、この世界の者が手を取り合っていけるように。
そのためには小さな妖精の国の末端の王女としてではなく、絶対数の多いヒューマンの英雄としてではないといけなかった。ドラゴンと協力し悪を滅ぼした英雄としてでなければいけなかった。
後ろなんて、振り向いていられない。
時計の鐘がゆっくりと尾を引いて消えていく最中、
「イリア様」
扉をノックする音が部屋の向こうから聞こえた。
頭の上に結んだ髪の位置が曲がっていないかを確認しながら、身を翻す。
「はい、今行きます」
私は、今を生きる。
そう、自分に言い聞かせる。
※ここから言い訳エリア
・本当にメーネが髪を染めているかは判りませんが、イリア自体は無名では無かったし、何よりメーネがそうしたいと思う気持ちがあるのではと思いました
・この時にセントロータス自体はあると思うけど(マーキュリーのドラストから)規模を勝手に漁村みたいな感じにしてしまいました
・「無私」とは、を調べると切なくなるかもしれません
・4周年の際に「文庫ページメーカー」様で画像を作成してアップをしましたが、その時の背景はガーベラでした。ガーベラの花言葉を調べてもry
※ここまで言い訳エリア
当小説はドラガリ4周年に上げたものに加筆修正を行ったものです。
今まで人生で一番早く書き上げた……と思ったが、2時間で書いた閃の軌跡2の小説があったのだった。今回のは1日弱程かかっています。
メーネはずっと書きたいとは思っていたのですが、イベントのロストヒストリア自身をそこまでがっつり読み込んでいたわけではないので、踏み切るのに案外勇気が必要でした。
メーネは出てきた時から割と自分は好きになっていて、まずは声が素敵。ゆかなキャラはドラガリに既にナームとネファリエがいるけど、自分が一番好きな雰囲気なのでメーネとか、後はおとナーム辺りなんですよね。
そしてあのロストヒストリアのEDがもうね……彼女の生涯を思うと胸がきゅっとなります。
……なんかカサンドラといい、成就しない愛みたいなの好きなのか?って思わなくはない。他の作品でもなんか……微妙に身に覚えが……。
しかし好感度は高くても手に入れるのはまた別で、実際に聖城に来たのは一年くらい後だった気がします。長かった。遠かった……。
なんとかリアルも落ち着いて来たし、そろそろ2万字を超える小説とか書きたいな~とは思って書き始めてはいるのですがいつ完結するかは不明です。哀しい事にドラガリが終わっていることだけは確実です。……小さいの書けば別かも。
☆こちらもよろしくお願いします
cry sky cring(ユーディル・ゼーナの真面目なちょっと短いお話)
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